Jリーグ [ザスパクサツ群馬 大前元紀選手](Vol.1)

笹川裕昭のスポーツコラム(月1回掲載予定)

「自身の力をチームに還元」

今シーズンからキャプテンとしてチームをまとめる大前

2月28日。サッカーJ2ザスパクサツ群馬の新シーズンが開幕しました。ホームで迎える開幕戦の相手は、J2初参戦のブラウブリッツ秋田。昇格チームだから、ザスパが「勝って当たり前」「勝たなきゃいけない」という大きな期待とプレッシャーの中、見事2―1で勝利。そして、その中心にはキャプテン・大前元紀選手の姿がありました。

大前選手は、試合開始4分にはCK(コーナーキック)から精度の高いボールを配給し先制点をアシスト、同点で終わるかと思われた終了間際には、相手ゴール前で決勝点の起点となるなど、ピッチ上で別格の輝きを放ってくれました。開幕戦の直前には、「普通にやれば問題ない」と話していましたが、大前選手もチームも、良さを存分に発揮しての勝利となりました。

大前選手はプロ入り前から、高いサッカーセンスを誇るストライカーとして多くのファンを魅了。高い得点能力、そして精度の高いセットプレーでのキックを持ち味に活躍してきた選手です。

そんな彼も、2019年にJ2大宮アルディージャで不本意なシーズンを過ごし、契約満了。昨シーズン、ザスパにやってきました。

ザスパはチーム力でも環境面でも、彼がこれまで過ごしたクラブには劣るのですが、「自分の力がこのチームにどのくらい還元できるかという楽しみがある。チームがいい方向に向かえば自分のサッカー人生も、いい方向に向かうんじゃないかと思った時、ザスパでやりたいと思うようになった」と、加入を決断した理由を口にしていました。

昨シーズンは8ゴールを挙げチームを牽引、自身の復活を果たしました。さらに、若い選手に積極的に声をかけ、経験を惜しみなく伝えるなど、チームへ還元する姿が印象的でした。結果、若手の成長を促しチームをひとつにまとめることに成功。ラスト6試合を5勝1分けとし、好成績でシーズンを終えることができました。

2年目の今シーズンは、全選手の中で一番に契約更新を発表しました。大前選手は「昨季の終盤のようなサッカーができればいくらでもチャンスがある。自分が早めに契約を更新することで、ほかの選手に与える影響も少なからずあるかなと思ったから」と説明。その通り、大前選手の決断にザスパ残留を決めた選手も多く、昨シーズンの良いサッカーを今シーズンに引き継ぐことができたのです。

チームや組織を、より良い方向や結果に導くには、自身の能力やパフォーマンスを向上させることも大事ですが、いかに仲間をまとめ、彼らの力を引き出せるかというマネジメント力も重要だということを大前選手から学びました。

今季、ザスパのキャプテンに就任した大前選手は「チームも、サポーターも、まだ見たことがない所(順位)まで行けたらと思う」と飛躍を誓ってくれました。

シーズンはまだ始まったばかりですが、大前選手を先頭に走り出したザスパは、いつも以上に期待ができそうです。

Sasagawa hiroaki

笹川裕昭/ 1978年3月28日生まれ、埼玉県さいたま市出身、大東文化大卒。ラジオ局エフエム群馬で、アナウンサーとして、スポーツ実況や朝夕のワイド番組に出演。現在は、株式会社フットメディアに所属し、スポーツ実況を中心に県内外で活動。個人サイト「SASAnote」(https://sasanote.net/)を運営し、県内スポーツの情報発信も行う
Twitter:@hiro3sa
Instagram: hiro3sa_insta

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