首位キープのザスパ チーム 一丸でJ2復帰へ

沼津戦で、勝利の湯もみをするザスパの選手たち=(9月28日、正田醤油スタジアム群馬 撮影・高山昌典)

13戦負けなし 続く快進撃

ザスパクサツ群馬が快進撃を続けている。10月5日25節、藤枝戦終了時点で首位をキープ。開幕から10試合は3勝3分4敗となかなか結果が出なかったが、7月7日の15節福島戦から13試合負けなしだ。ザスパの強さを支えるものとは何か。好調を維持するチームを取材した。

快進撃の裏に指揮官の手腕あり!

「少しのラッキーで流れをつかむことができ、勝ち星を挙げられるようになった。流れをつかめたことで、『自分たちの向かっている方向に間違いはないんだ』という『自信』が生まれ、それが『確信』に変わってきたことで、少しずつ勝ち点を伸ばすことができているんだと思う」

沼津戦で勝利を挙げた瞬間、スタッフ陣と喜び合う布監督=(同)

夏以降にチームの状態が上がってきた要因についてこう語った布啓一郎監督。今季は、昨季からの選手5人を残しただけで大幅に選手を入れ替えたため、選手同士が互いのプレーを理解し、チームとしての戦いできるようになったのもこの頃だ。
しかし、それ以上にチームの成長に大きく影響しているのが指揮官としての布監督の手腕だろう。 「チームに最大限の力を出させてあげるのが監督の仕事」と布監督が言うように、選手それぞれの特徴を生かした指導が光る。
布監督は、ザスパで指揮を執る前に、コーチとして3年間岡山で指導に当たっていた。岡山とザスパを通して肌で感じたのは、「技術だけではJ2、J3では通用しなくなっている。J3でも各チームの実力差はなくなってきており、攻守にハードワークできるチームでないと勝ちきるのは難しくなっている」ということだ。

前線で自らゴールを決めるだけでなく得点機を演出する加藤潤也(左)=(同)

そして、「群馬(ザスパ)をどうやってJ2に戻していくかを考えたとき、表面上だけを取り繕って昇格したとしても、すぐにメッキがはがれてJ3に落ちてしまう。しっかり将来を見据えたチーム作りをしていかなければならないと思った」という。
そのため布監督は、選手たちに、攻撃でも守備でもギリギリのポジションを取らせる。例えば、攻撃的なポジションの選手なら、守備のことも考えたポジションを取ったり、試合中に「ミスをしてボールを奪われるかもしれない」と感じたら、瞬時に判断し行動を起こす。先を予測したギリギリのポジショニングと判断力、決断力があれば、チームを勝たせられるだけでなく、選手自らの価値も上がっていく。
だからだろう。結果を第一に考える監督なら、J2昇格を目標達成と考えるが、布監督は違う。「目標達成がJ2だけだったら窮屈になっちゃう」と、「良いフットボール選手を育てる」ことにも尽力する。
今季も残り9試合となった。リーグ終盤でケガ人が出てきてはいるが、選手の価値を上げる努力を続ける選手たちが、その穴を埋めるに十分な活躍をするだろう。J2復帰に向け、12月8日の最終戦まで、負けられない戦いが続く。

 

掲載内容のコピーはできません。