伝説のスラッガー 阿久沢毅氏

群馬クレインサンダーズの社長に就任

ホームランがつないだ縁、群馬バスケ界を盛り上げる

記者会見で、「さんだくん」のだるまをバックに記念撮影に応える阿久沢毅社長(左)と平岡富士貴ヘッドコーチ(7月1日、GINZA SIX)

高校野球界からプロバスケットボールの世界へ。今年3月まで勢多農林高校野球部監督を務めていた阿久沢毅氏(59)。高校時代に出場した第50回選抜高等学校野球大会で王貞治以来の2試合連続ホームランを放ち、「王貞治2世」と呼ばれた県高校野球界のレジェンドが、7月1日に群馬クレインサンダーズを運営する群馬プロバスケットボールコミッションの代表取締役社長に就任した。併せて、オープンハウスが同社を完全子会社したことも発表された。

1日の会見で、オープンハウスディベロップメント常務で群馬プロバスケットボールコミッション取締役の吉田真太郎氏が、社長選定に2つの軸があったことを明かした。1つは「群馬において知名度がある」、もう一つは「一緒に日本一のクラブを目指すという熱い思いがある」。

昨夏、オープンハウスがクラブ経営に参加してから、「経営をしたい」と売り込みに来た人など約50人と話をした吉田氏。目に留まったのが阿久沢氏だった。「群馬をバスケ王国にするという我々の思いに強く賛同し、実現させようという思いが本当に伝わった」と振り返る。

阿久沢氏とクラブとの縁を繋いだのは、元プロ野球選手の金石昭人氏。金石氏と知り合いだった吉田氏は、会話の中で「群馬で有名な人を3人挙げて下さい」と言うと、金石氏は阿久沢氏の名前を口にした。高校時代、PL学園との練習試合で金石氏から2本のホームランを打ったのが阿久沢氏だった。そして、たまたま金石氏が桐生高校時代に阿久沢氏のチームメートだった木暮洋氏と親しかった縁で、阿久沢氏とつながった。

母校の桐生高や太田高、渋川高、勢多農林高で野球部の指導に関わった阿久沢氏は、オープンハウスからの社長就任依頼を受け、1年後の定年を待たず3月に退職。プロスポーツクラブ経営は、これまで以上に結果を求められる厳しい世界だが、4月から県内各地を回っている阿久沢氏は、「多くの人からの応援を力に変え、ひるむことなく、挑んでいく」と意気込む。

これまでBリーグの試合を見たことがなかった阿久沢氏だが、社長就任の話をもらった後、家族とサンダーズの試合を見た時の印象は「面白いぞ」。一緒に観戦した80歳過ぎの母親も、「楽しい」と言ったのを聞き、「ここにバスケの魅力が隠れている」と認識した。

阿久沢氏の使命は、サンダーズをB1に昇格させ日本一のチームにすること。そのためには、県民に広めることが必須だ。「そこに闘志を燃やしていきたい」と力を込める。阿久沢氏にとってサンダーズのライバルは、ぐんまちゃん。シーズン終了時、サンダーズがぐんまちゃんの知名度に追いつき、試合を見に来た人たちに勇気を与えられる存在になっていることを誓う。

掲載内容のコピーはできません。