東京2020 パラリンピック24日開幕

県出身4選手出場

来週24日に開幕する東京2020パラリンピック(9月5日まで)。今号では、本県出身の4選手と出場競技を、県内の特別支援学校で行われたパラリンピック聖火イベントの様子とともに紹介する。(谷桂、上原道子)
※県は、東京2020パラリンピックの開催を記念した動画をYouTubeチャンネル「tsulunos」で配信中。

■水泳
由井真緒里選手(上武大学1年所属)

手足の長さと持久力が持ち味
2002年、前橋市出身。同大ビジネス情報学部スポーツ健康マネジメント学科1年。先天性ラーセン症候群により腰から下が動かせない。競技では手足の長さと持久力が持ち味で、女子 50mバタフライ(S5)、200m個人メドレー(SM5)の日本記録保持者。

由井選手の指導者・柴田安秀さんは「腕が長く、ストロークが大きい。飛び込みができる点も強み。長い距離であっても、後半衰えることなく、平均して安定した泳ぎができる選手なので、持久力を生かしリレー、個人種目とも頑張ってほしい」と話している。

【競技の特徴】障がいの程度によってあらかじめクラス分けされた中でタイムを競う。由井選手が出場する混合4x50m 20ポイントフリーリレーでは、各選手のクラス(由井選手はS5)の数字合計が20を超えない男女各2人計4人のチームが自由形で50mずつ泳ぐ。
◎出場日程
25日女子 200m自由形(S5)
26日女子100m自由形(S5)
26日混合 4x50m 20ポイント フリーリレー
28日女子 100m平泳ぎ(SB5)
9月3日女子 200m個人メドレー(SM5)

「初出場なので、緊張しすぎず、自分らしい泳ぎができるよう頑張ります」(県動画サイトtsulunosより)

■陸上競技
唐澤剣也選手(県社会福祉事業団所属)

5000m世界記録保持者
1994年渋川市出身。先天性網膜剥離のため小学4年生のとき視力を失う。リオ・パラリンピックをきっかけに競技を始め、19年の世界選手権では視覚障がいのもっとも重いクラス(T11)の5000mで銅メダルを獲得。今年5月に東日本実業団陸上で5000mの世界記録を17年ぶりに更新。

【競技の特徴】ガイドロープの両端を、選手と、伴走者(ガイドランナー)とがそれぞれ握って走る。競技中ロープを放したり、ガイドランナーが先にゴールしたり、選手を引っ張って走ったりしたら失格となる。
◎出場日程
27日男子5000m(T11)
30日男子1500m(T11) 予選、31日決勝

「自分らしく粘り強いレースでメダル獲得できるよう」(県動画サイトtsulunosより)

■柔道
永井崇匡選手(学校法人学習院職員)

世界大会でも活躍する期待の星
1995年中之条町出身。1歳の頃全盲に。小学1年生から柔道を始めた。インドネシア2018アジパラで3位、19年にはアジアオセアニア選手権大会アティラウで銅メダル、同年第34回全日本視覚障害者柔道大会では優勝。

【競技の特徴】障がいの程度に応じたクラス分けはなく、オリンピックと同様、男女別・体重別の階級制で行われる。両者が組み合った状態で試合を開始する点や、離れた場合に「待て」がかかる点などが、健常者の競技と異なる。
◎出場日程
28日 男子73kg級

「パラリンピックでの優勝はずっと小さいころからの夢」(県動画サイトtsulunosより)

■ブラインドサッカー
園部優月選手(筑波大学付属視覚特別支援学校高等部3年)

県出身の日本代表で最年少
2003年富岡市生まれ。網膜の病気の影響で3歳の時に全盲に。県立盲学校5年生の時に競技を始める。2019年に日本代表初選出。筑波大付属視覚特別支援学校の中高生やOBを中心に構成されたブラインドサッカーチームに所属。

【競技の特徴】5人制サッカーとも。視覚障がい(全盲)のある選手がアイマスクを装着し耳から得られる情報だけをたよりにプレーする。選手の目の代わりとなってサポートする「ガイド」と呼ばれるメンバーが敵陣ゴール裏に立ち指示や情報を伝える。ピッチはフットサルコートとほぼ同じ幅20m×長さ40m。ゴールキーパーだけはアイマスクを付けず、視覚障がいが無い選手が務めても良い。
◎出場日程
29日 男子予選-グループA(日本 vs フランス)

「応援、期待に答えられるよう全力で戦い抜きたい」(県動画サイトtsulunosより)

特別支援学校10校でパラ採火式

東国文化にちなんだ「舞い切り式」で火おこし

東京パラリンピックの聖火イベント「採火式」が16日、県内の特別支援学校10校で行われた。各校の生徒たちは、群馬県が東国文化発祥の地であることから採用された「舞い切り式」と呼ばれる古代の技術で火おこしに奮闘した=写真下。

採火式は、県立聾学校(前橋)や盲学校(同)を始め、沼田、館林、館林高等、渋川、藤岡、富岡、渡良瀬、吾妻の各特別支援学校で実施。

聾学校では、同校の卓球部と陸上部の生徒18人が出席。土橋惠津子校長が「頑張って火をおこし、エールを送りましょう」とあいさつをしたあと、初めての「舞い切り式」に取り組んだ。まず、穴の開いた板に弓のような棒を立て、横木を上下させて先端に強い摩擦を起こす。煙が出たら火種を麻の繊維に移し、息を吹きかけ発火させる仕組み。生徒らは火が付くと拍手をして喜び合い、その後ランタンに火を移した=写真上。生徒会長で卓球部に所属する木村さくらさん(高等部2年=16)は、「みんなで協力して火がおこせて、とてもいい思い出になった。コロナの影響で直接選手を応援出来ませんが、火を通して、気持ちを伝えたい。パラリンピックでは、車いす卓球を応援します」と笑顔で話した。

当初、10カ所でおこした火は伊勢崎でひとつにまとめてから東京まで届け、パラリンピック発祥の地・イギリスのストークマン・デビルの採火や全国から集まった火とともに聖火台に点火される予定だった。だが、コロナの感染拡大で、各火を撮影した動画を東京に送る方式へと変更された。

掲載内容のコピーはできません。