26日まで動物愛護週間

動物と家族の幸せのために
よく考えて迎えよう

新型コロナウイルスが流行し始めてから、動物を新たに飼う人が増えている。一方、県動物愛護センター(玉村町)によると手放す飼い主も増加し、動物の引き取り頭数が増えているという。今月20日に始まった「動物愛護週間」は26日まで。コロナ禍の犬猫事情や飼う上での心構えについて取材した。    (飯塚ゆり子)

後を絶たない飼育放棄

「飼育放棄された犬猫の連絡がきた。まただ…」。県内で犬と猫の保護活動をしている団体「ドッグリライフ群馬」のスタッフはため息をついた。飼育放棄が後を絶たないという。県動物愛護センターによると、コロナ以前の2019年とコロナが蔓延し始めた20年を比べると、飼い主が手放したい動物の「引き取り」頭数は、猫が259頭から298頭、犬は43頭から72頭といずれも増加している。

センターへの引き取りを依頼する理由について、同センターの職員は「コロナが影響しているかどうかは分からない」と前置きをしつつ「一人暮らしの高齢者が他界、もしくは入院や施設へ入所することでペットの行き場がなくなるケースが多い」という。

新たに飼う人は増えているが、継続は難しい

新たに飼う人は増加している。県動物愛護センターが行う新しい飼い主に手渡す「譲渡」についても、1年間で猫が252頭から321頭、犬が146頭から173頭と共に増加している。

ペットフード協会の調査でも、新たに犬猫を迎え入れた人は、猫が116%、犬が114%と前年度を上回っている。ただ、犬や猫を以前から継続して飼っているという人は、犬で4%、猫で2%減少している(2019年~20年)。

県愛玩動物協会代表で、日本愛玩動物協会の顧問を務める高崎市の川口和清さんは、「コロナの影響が出るのはこれからなのではないか。継続して飼う人が減った要因として想像できるのは、飼い主の高齢化です。コロナ禍で経済的にも不安を抱える中、動物を飼育することの大変さを知っている分、『もうやっぱり飼えない』ということにつながっているのではないか」と言う。

1980~90年代にかけて、ハスキー犬など大型犬の爆発的なブームが起こったが、特性を熟知しないまま迎え入れた飼い主が2~3年後、手に負えないと手放すケースが多かったという。今回も「新たな飼い主には、飼うことをブームで終わりにしないで、飼う前にはよく考えてと伝えたい」と川口さんは声を大にして呼び掛ける。

飼う上での心構え

ペットを迎え、共に過ごすようになり、「家の中が明るくなった」とか「動物が一層好きになった」という人も多い。そのために、新たに迎え入れる前に必要な準備や心構えを川口さんに3点聞いた。「動物愛護週間」をきっかけに、参考にしてはどうか。

★その1
犬猫の平均寿命を知ること。犬は15年、猫は長いと20年。これを自分や家族の年齢にプラスしてみよう。年齢だけではなく、犬猫に関わる出費も把握しておくことがポイントだ。年間で、犬で16万円、猫で10万円ほどの食費や医療費などがかかるという(出典:ペットフード協会)。

★その2
犬猫の性質を知って学ぶこと。吠える、鳴く、走り回るなど思い通りにならなくても、動物たちのせいにしない。動物だけでなく、飼い主や家族もお互いに努力を積み重ねて上手く過ごそう。

★その3
動物に目的を背負わせないこと。「動物に癒やされたい」「動物がいることが子どもにとって情操教育になる」「自分のストレス解消になる」という目的だけを求める飼育は上手くいかない。

※動物の飼育に関する 県内の主な相談先(内容によって、相談先は異なります)
・県動物愛護センター(本所・玉村町) 0270-75-1718
・高崎市動物愛護センター 027-330-2323
・前橋市保健所 027-220-5777

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