お笑い芸人 山本 博さん

お笑い芸人 山本 博 さん
エア抱っこポーズで、「子どもが生まれたときに、自分の第1章が終わったみたいで、これから第2章、親になるんだ俺って」と笑顔で語るロバートの山本博さん。よしもとクリエイティブ・エージェンシー(東京都新宿区)で

99の失敗があり、1つがやっと開花
むちゃぶり絵本で 広がったオレ!

邑楽町出身、お笑いトリオ「ロバート」として活躍する山本博さん(40)。2歳の男の子のパパとして子育てに奮闘中だ。昨年10月に出版した初の絵本「むちゃぶりかみしばい」(文芸社)が大うけし、子どもはもちろんママさん、パパさんにも大人気。お笑いライブ、テレビ、ワークショップなどに活躍中の山本さんに、芸人として、絵本作家(!?)として、パパとして育児や仕事への思いを聞いた。

むちゃぶりかみしばい誕生

Q絵本出版のきっかけは
3年くらい前、ロバートとして出演していた「おはスタ」(テレビ東京)の番組最後に、コンビの秋山が「来週は、山本が紙芝居を作ってきます」と勝手に言っちゃって。今まで、学校の授業以外で、絵を描いたことなんてないんです。「やだよ~」と言ったんですがお構いなし。タイトルまで「少年と魔法のサスペンダー」とか決めちゃって。
翌週、作って行ったら何と、「めちゃくちゃいいじゃん」ってウケて。それから、恒例になったんですが絵が下手だから、下書きして何回も描き直しています。市販の油性マジックで塗っただけ、1話5枚って決めて。すげえ苦労したのに、秋山と馬場がゲラゲラって1回笑うだけで終わるのは、もったいないなと思ったんです。
それで、文芸社さんの「えほん大賞」という公募コンテストに作品「シャリーと無意味な飛行場」を出しました。受賞はしなかったのですが、連絡があり、「ストーリーの奇想天外さと独特な色使いとタイトルに驚かせられました」と興味を持ってもらいました。後で作品を持参したら、「芸人さんですか?」と。「経緯も書き方も面白い」となって、「むちゃぶりかみしばい」の出版になりました。おかげさまで、ライブでも親子連れが増えましたね。

Q秋山さんのむちゃぶりで、思いがけず才能が開花しましたね
それ、少し思いましたね。今ではワークショップに呼ばれて、今度は自分が子どもを前に、ひどいタイトル出して、むちゃぶりしています(笑)。「上手くなくていいよ、正解はないから、自分の想像力や発想で」と言っています。
人にむちゃぶりされてやらされ、結果、広がることってありますね。でも、100のむちゃぶりのうちの1個が、たまたま形になっただけ。99は赤っ恥かいたり大失敗を繰り返しています。世の中、自分がやりたいことは意外に形にならない。やらされることで、評価されることもあるんだと実感しました。お客さんから拍手をもらうと、それまでの苦労が報われ本当にうれしいです。

Qお子さんにも、その絵本を見せますか
うちには色々な本がありますが、絵が目立つのか、一番気に入っているんですよ(笑)。「これー」って言いながら毎回持ってくる。でも、もしかしたらオレのリアクションが他の本の時と違うからかもしれないですね。親の顔色を見ている可能性があります(笑)。

子育てをパパとしてサポート

Q育児絵日記も毎日書いていますね
日常の子育てを絵日記にしてインスタグラムに挙げていますが、大反響です。お客さんとも「子育てあるあるネタ」で盛り上がります。僕の大変さなんて、世間のママさんの苦労に比べれば全然ですが、あくまで「パパ目線」で描いています。

Q子煩悩でイクメンというイメージがあります
結婚が36歳と遅かったので、2年後に子どもが生まれて本当にうれしくて。友だちが皆、パパの顔つきに変わっていくのを見て、自分も早くなりたかったですね。男の子なんですが、生まれて1週間は超かわいかった。その後、子育てで精神的につらそうな奥さんの異変に気が付いて「やばいな」と子育てに協力するようになりました。夜は寝られないし、泣き止まないし、モンスターです(苦笑)。

最近もめちゃくちゃ大変。おもちゃをガチャーンと投げる、ご飯も味噌汁もバーンて。奥さんはどちらかというと穏やかな人ですが、ストレスを抱え過ぎて弱ったら自分も仕事できないので、時間がある時は子どもをなるべく外に連れ出したりとか自分ができる範囲でサポートするようにしています。

Qお子さんが生まれて仕事に対する変化はありましたか
2年前から出演している子ども番組「おはスタ」で、以前はお兄さん的存在で「遊ぼうぜ」とか言っていましたが、今ではすっかり親目線で「お母さんの言うことはよく聞こうね」と変化しました。子どもが生まれてからは、親の立場が分かるようになったので、以前にも増して仕事への意欲が高まり、お笑いに対する意識も深まってきましたね(笑)

Qご両親への思いに変化はありましたか
以前は、芸能界で成功してないし、照れくさいし、なかなかありがとうと言えませんでした。でも今は、両親に自然に感謝できるようになりました。オレが小さい頃、親がどんなに「てんやわんや」していたか今なら分かるし、親がいなかったら、まず生きていないので。この前の母の日にも、プレゼントにメッセージ添えたりして(笑)。月1回は子どもの成長を見せに実家に帰っています。

Qお子さんに、何かやらせたいことありますか
格闘技とか水泳ですかね。体も精神も鍛えられますから。自分もやっていたので、ボクシングとかに興味を持ってくれたら超うれしいですけど。続けられなくても、スポーツを通して自分の弱さを自覚して本当の意味で強くなってほしいです。

晴れてぐんま特使に

Q2019年3月にぐんま特使に就任しました
いやあ、むちゃくちゃうれしかったですね。やっと地元に認められました。秋山と馬場の出身地、九州のイメージがトリオには強かったので。ちなみに、生まれ育った邑楽町でも観光大使を務めています。母が知人の役場の人に電話して直談判したら、5分でOKになりました。さすが邑楽町。今回のぐんま特使は、本当にありがたいです。

Q将来の夢は
群馬は環境が良くて公園も広い。「とにかく贅沢ですよ、幸せですよ」と声を大にして言いたい。実家に帰って、子どもと公園に行くと「丸ごとこの子に使えるじゃん」と感動します。子育てしていると大変だし、八方ふさがりのこともありますが、環境を生かして、肩ひじ張らずに一緒にやっていきましょう。

文/撮影・谷 桂

やまもとひろし

1978年邑楽町生まれ、足利工業大学附属高卒。お笑いトリオ「ロバート」のツッコミ担当として全国の劇場やライブなどで活躍。朝の子ども向けテレビ番組、「おはスタ」(テレビ東京)では、金曜日のレギュラーを務める。2018年10月に初の絵本「むちゃぶりかみしばい」(文芸社)を出版。インスタグラムでは「育児日記」を日々アップする(@yamamotohiroshipapa)。フェザー級プロボクサーでもある。よしもとクリエイティブエージェンシー所属やまもとひろし

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