家族 [写真家・浅田政志さんの写真集「浅田家」…]

上州日和タイトル

写真家・浅田政志さんの写真集「浅田家」。昨年は人気俳優の二宮和也さん主演により映画にもなった。実物が観たくて高崎市美術館の企画展「メモリーズ」の会期終盤に滑り込み、すっかり魅了された。浅田さんは写真専門学校在学時、「もし、一生に一枚しか写真が撮れなかったら、どんな写真が撮りたいか」と先生に問われ、「家族写真」という答えを導いたという。

作品では両親と兄、自身の家族4人が被写体になり、コスプレをして様々なシーンを演じる。例えば、ケガ人と看護師や戦隊もの、ラーメン店スタッフ、消防士などなど。絶妙なチームワークで全力で挑む。カーレーサーに扮する写真では、鋭い目つきで家族に指示を飛ばす母がド迫力の表情で、会場にいながら思わず笑いが込み上げた。

衣装を作って着用し、光りの向きを考えて全員で決めポーズをする撮影は、さぞかし大変だったろう。だが、「浅田家」は思い出の写真撮影というだけではなく、明るい未来を見せてくれた。

コロナの感染拡大は収まるところを知らない。最も近くに当たり前にいる家族は時にうっとおしくもあるが、何かあったら真っ先に心配にもなる存在。

今、「一枚だけ写真を撮るとしたら何を撮るか」自問自答している。

(谷 桂)

掲載内容のコピーはできません。