俳優 中村 俊介 さん

「『ドクターカー』の勇介役は、役者としての幅を広げてくれました」と語る中村さん=東京都港区

『この役を演じて』と言われたら、迷わず『はい』。常に、期待に応えられる俳優でありたいですね

身長185センチ。目元涼やかな正統派二枚目だ。モデルを経て俳優に転身後、コメディーからシリアス、時代劇まで様々な役をこなす。ルポライターの浅見光彦役で知られるが、今年4月から放映中の医療ドラマ「ドクターカー」では主人公と対立する朝城勇介を演じている。20年以上、第一線で輝き続けるイケメン俳優にドクターカーや俳優業、今後の夢について聞いた。

【「感じたまま」を演じる】

Qドラマのオファーを受けた時の気持ちは

最初に、「ヒール役が似合う役者がやると本当に嫌味になってしまうので、イメージと違う中村さんにやって頂きたい」と言われました。先方の要望に応えるのが俳優の仕事。役者としての幅を広げられる役だと感じたので、「ぜひ、やらせて下さい」と引き受けました。

Q実際、朝城勇介を演じられてどうでしたか

医者としての腕は全くなくて、金儲けのことしか考えてない。実力者の前ではペコペコ、部下には威張り散らす。限りなく嫌な奴で、かなりおかしな役。全く共感できない人間だったので、むしろやりやすかった。凄く作り上げた感があるし、演じていてとても楽しかったですね。最近、良い人の役が多かったので俳優として新たな面を引き出してもらえました。

Qどのように役作りをしていくのですか

まず、頂いた台本を「読んだまま」「感じたまま」演じます。その上で現場でコミュニケーションを重ねながら、監督のイメージに近いキャラクターを作り上げていきます。

Qドラマ「ドクターカー」の見どころは

ドクターカーを初めてテーマにしたドラマ。救急医療の理想に燃える剛力彩芽さん演じる主人公と、ドクターカーは「金のかかるガラクタ」と断じ廃止しようとたくらむ勇介との対立などが見どころです。私は剛力さんを徹底的にいじめる役ですが、現場では手加減せずガッツンガッツンやりました。周りで見ている人が、「わ~」と引くぐらい(苦笑)。救急医療の現場や、対照的な2人の関係性などを楽しんで欲しい。

Q撮影現場の雰囲気はどうでしたか

楽しかったですね。「現場は楽しく!」がモットーなので自らムードメーカーになり、スタッフさんをいじったりオヤジギャグを飛ばしたり。もう、3枚目どころか4、5枚目です。本番では緊迫したシーンも多く、まさに真剣勝負。剛力さんの天真爛漫さ、かたせ梨乃さんの迫力など共演者から色々学ばせて頂きました。

【思い切って新しい世界へ】

Q中学高校時代は音楽に熱中していたとか

当時、ちょうどバンドブームで群馬出身のBOOWYさんなどが活躍していました。ロックにハマっていて高校時代はバンドを結成。プロになりたいというより、とにかく仲間とでっかい音を出しているのが楽しかったですね。

Q高校卒業後、一旦は就職しました

二択しかなかった。大学進学か就職か。敷かれたレールに沿って、前橋の企業で働きはじめました。仕事は楽しかったのですが、このままやり続けるのは何かが違う。どうしたいか分からなかった時、オヤジが背中を押してくれました。「どうせやるなら、もっと大きなことをしろ」と。もともと芸能界に興味があったので20歳の時、思い切って新しい世界に飛び込みました。

Qモデルから俳優に転身されましたね?

22歳の時、映画「時をかける少女」で俳優デビューを果たしました。でも、分からないことばかり。角川春樹監督は物凄く厳しい人で撮影時、何度もやめようと思いました。ただ、その後出演した初の連続ドラマの現場が本当に楽しくて。おかげで俳優を辞めずにすみました(笑)。

【自分のカラーを追求し続けたい】

Q人気ドラマ「浅見光彦シリーズ」で03年からずっと主役を演じていますね

浅見は33歳という設定でしたが、当時の私は27歳。演じられるか不安でした。年相応に見せるため抑えた演技をする一方、若々しさを出すことも意識しました。既に13年経ち浅見の年齢をとうに超えてしまいましたが、初心を忘れず自分のカラーを追求し続けたい。浅見シリーズは、私にとって思い入れのある作品です。

Q中村さんならではの浅見とは

正直、良く分かりません。ただ、原作者の内田康夫先生が、「中村さん演じる浅見は歴代の中で一番、母性本能をくすぐるタイプ」とおっしゃって下さいました。うれしかったですね。

Q理想の俳優像とは

俳優は、真っ白な紙に色んな色を重ねながら求められる役を完成させていく。そこに自分なりのスパイスを入れて、監督に提示しジャッジしてもらう。台詞一つにしても、ソフトに言うかハードに言うかで雰囲気は全く違う。だから、自分の思いにとらわれすぎないことが大切。「この役は僕に合わない、この役はやりたくない」ということは一切ない。「この役を演じて」と言われたら、迷わず「はい」。常に、期待に応えられる俳優でありたいですね。

【今しか出来ない役にチャレンジ】

Q群馬はどんな場所

群馬県民は、愛県心にあふれている人が多い。私もその一人。家族も友達もいますし、色んな思い出が詰まっていて一番落ち着く場所です。

Q今後の夢は

歳を取ると出来なくなる役がある一方、歳を取らないと出来ない役もいっぱいある。そこが俳優業の面白さ。今しか出来ない役に絶えず挑戦したい。俳優以外でしたら、いずれは自分でドラマや映画を撮りたい。興味があるのは学園モノ。教師役で出演するのも良いですね(笑)。

Q群馬のファンにメッセージを

群馬出身や群馬ゆかりの方々が、芸能界に限らず様々なジャンルで活動しています。私もその一人として、郷里を盛り上げるため出来る限りのことをしていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします。

文・写真/中島美江子

【プロフィル】Shunsuke Nakamura
75年草津生まれ。95年、「メンズクラブ」専属モデルに。97年、映画「時をかける少女」で俳優デビューを果たす。03年から人気テレビドラマ「浅見光彦シリーズ」で主演を務める。コメディからシリアス、時代劇までドラマや映画に多数出演。現在、読売テレビ・日本テレビ系で放映中の「ドクターカー」(毎週木曜午後11時59分~)に、朝城勇介役で出演中。ラバーソウル所属。