空の平和と安全[8月17日号]

夏の甲子園は100回記念の今年、元大リーガーの松井秀喜さんが開幕の始球式を務め、球場を沸かせました。そのボールは直前、朝日新聞社ヘリから投下されたもの。見事グラウンドに着地すると、4万人超の観客がどよめき、拍手が起こりました。

祝賀飛行と呼ぶこのボール投下は、第9回大会から続きます。戦中は大会が中断し、敗戦後の占領下は日本機の飛行が禁じられて米軍機が代行も。1952年に弊社航空部が再開し、今に至ります。今夏の群馬大会では天候不良で中止されましたが、全国の地方大会で行われます。

創設92年を迎えた弊社航空部はいま、ヘリ4機と小型ジェット機を所有し、操縦士や整備士ら約40人がいます。羽田と大阪伊丹、福岡に置く拠点から、普段はカメラマンや記者を乗せて飛び、写真や動画の撮影などを担います。

私も記者として何度も搭乗し、そして人事部在籍中は操縦士らの採用に携わりました。応募者には自衛隊や海上保安庁、自治体防災の経験者も多く、空を愛し、社会貢献を志す思いを聞きました。94年には弊社機の墜落事故があり、泣きはらした目で同僚の死を取材する先輩を目の当たりにしました。それだけに、今月10日に起きた県防災ヘリの墜落事故は、とても他人事とは思えません。

御巣鷹忌の12日は上野村の慰霊塔へ。そして終戦記念日の15日、県庁に設置された事故犠牲者を悼む献花台を訪れました。空の安全を誓い、戦争を悔悟する夏にまた一つ、大きな教訓を背負った重みを感じつつ、9人の遺影にご冥福を祈りました。(朝日新聞社前橋総局長 岡本峰子)