音楽デュオ「レ・ロマネスク」 MIYA さん

ノンジャンルで世界を席巻

「一番大切にしているのは自分たちが面白がってやること。そのハッピー感は観ている人に絶対伝わります」

 

【仏では北野武より有名】

「♪ズンズンズンズンズンズンドッコ、トゥヴァビヤン、トゥレシトワイヤン♪」 09年、フランスの人気TV番組で、ズンドコ節に乗せパリ生活を皮肉った歌を仏語で歌い、一躍世界の注目を集めた「レ・ロマネスク」。メインボーカルを担当するTOBIと、アシスタント役のMIYAで構成される日本人ポップ・デュオだ。彼らの出演映像は動画投稿サイトYouTubeにアップされ、フランス国内再生回数1位、世界4位という驚異的な数字をたたき出す。フランスで「北野武よりも有名な日本人」と言われるゆえんだ。

TOBIの隣でコーラスや合いの手を入れるMIYAは、歌ったりしゃべったりしないが、ド派手なオリジナルメイクに巨大な金髪アフロといったいでたちで強烈な存在感を放っている。「曲の合間に『ソレ』とか言っているだけですが、それが新鮮で面白いみたい。一歩引いた場所からお客さんを眺めている。アシスタントであり応援団であり、いわゆる『ゆるキャラ』的な立ち位置でしょうか」

【学園祭的なノリで出演】

織都桐生に生まれる。子供の頃から学級委員を任されるなどいわゆる優等生タイプ。大学では心理学を学び、将来はカウンセラーを目指していた。転機は00年。留学先のパリで、同国に滞在していたTOBIから「イベントの出演依頼を受けたけど、一人は心細いので後ろに立っていて」と誘われ舞台に立つことに。「お手伝いだから私はメイドねっていう安易なキャラで。1度きりだからと気軽に引き受けてしまいました」

学園祭的なノリで出演したが、2人の意に反し「突貫パフォーマンス」はパリっ子に大受け。次々オファーが舞い込むようになる。「レ・ロマネスク」の誕生だ。以来、パリを拠点に音楽活動を展開。08年にはパリコレに出演、10年にはパリ国際映画祭の公式マスコットに選ばれ、女優ジェーン・フォンダと共に広報大使を務めるなど、各業界で注目を集める。「流れに身をまかせていたら、いつの間にか仕事になっていた。舞台は人を喜ばせたり癒やしたりできるので、結果的にカウンセラーのようなことをしている。全て必然だったのでしょう」

【心掛けているのは遊び心】

作詞作曲や振り付けはTOBI、衣装やメイクはMIYAが担う。デザインで心掛けているのは「分かりやすさと遊び心」。インパクトを追求していたら今のビジュアルに辿りついたという。「コンセプトは『愛と平和』なので、明るく元気になるような形や色を取り入れている。そして、一番大切にしているのは自分たちが面白がってやること。そのハッピー感は観ている人に絶対伝わります」。

これまで、パリやニューヨークなど世界10カ国32都市で公演を行う。全身ピンクの衣装とド派手なメイク、昭和の香り漂う歌謡メロディーとユーモラスな歌詞、キレキレの踊りは異なる価値観や言葉を超え大きな支持を得ている。唯一無二のパフォーマンスに込められたメッセージは、「人生うまくいかなくても好きなことをやり続けていればいいことがあるよ」。「フランスには『QUI RIT GUERIT(キリゲリ)笑えば治る』という諺があるが、楽しくやっていれば何とかなる。だから、その場にいる皆が幸せになるようなライブが理想。笑顔のお客さんから、生きる勇気や元気を一杯もらえますから」

【無理せず自分らしく】

「現在、ライブに加えテレビやラジオ出演など多ジャンルで活躍中だ。来月4日には初のCD付公式ガイドブックを出版する。13年からコミュニケーションをテーマにしたNHKテレビ「お伝と伝じろう」のメインキャストと主題歌「伝わレレレ」を担当。MIYAは主人公サトルに様々なスキルを伝授するお伝役を演じているが、ここでもしゃべらないという設定。「コミュニケーションは言葉だけではない。上手に話せなくても、人と違っていても違っていなくても、その人らしさって必ずある。だから、『無理せず自分らしく』ということをこの番組でも伝えたい」

【次なる野望は紅白出場】

フランス語で、「現実離れした」「ありえない」などの意味を持つレ・ロマネスク。ミュージシャンではあるが、国境もジャンルも活動の場はボーダレス。それが強みであり最大の武器でもある。「国籍も性別もゴチャゴチャ。何かに縛られるのはナンセンス。あらゆるものから自由でいたい。私たちを見て、『こんな人もいる』『枠からはみ出しても良いんだ』と、気持ちを楽にして欲しい」

今年はデビュー15周年。記念イヤーにふさわしく、今月30日の東京公演を皮切りに全国各地で出版記念ライブを開く。イベントが目白押しだが、次なる野望は明確だ。「紅白出場と東京ドーム公演とワールドツアーです。私たちを含め、誰もが現実離れした生活を送っている。人生って本当に何が起こるか分からない。『セラヴィ』。だから夢は大きくです」 国境なきミュージシャンは、「ノンジャンル」で世界を席巻していく。

写真・文/中島美江子

【プロフィル】MIYA
桐生生まれ。桐生女子高校、早稲田大学人間科学部卒。00年、パリで音楽デュオ「レ・ロマネスク」結成。ギター・コーラスを担当。強烈なビジュアルとパフォーマンスで、欧州のライブハウスやフェスティバルで人気を集める。世界10か国32都市で公演を行い、11年のフジロック出演を機に日本に帰国。NHK「お伝と伝じろう」のメインキャストを務めるなど活躍中。来月4日、公式ガイドブック「ジュテームのコリーダ」出版。