「対話」促す机をデザイン(Vol.56)

昨年末、アーツ前橋で開かれたワークショップ「あーつひろば」で試作品の検証を行う学生たち
昨年末、アーツ前橋で開かれたワークショップ「あーつひろば」で試作品の検証を行う学生たち

群馬大学教育学部美術専攻の学生たちが主体となり、美術館の机を作る‐そんなプロジェクトが始動したのは昨年10月。アーツ前橋から、子ども向けワークショップ「あーつひろば」を充実させるための什器についてご相談いただいたのがきっかけでした。そして、学生6人と一緒にデザインの実習授業として、ワークショップのための机をデザインし、製作までを行いました。

「机で『あーつひろば』をコミュニケーションによる学びの空間に」をコンセプトとしてアイデアを出し合い、最終的に天板が台形の座卓となりました。大きさや形状は、主な参加者となる子どもを中心に考えると共に、ワークショップの内容に合わせてパズルのように組み替えることで空間演出と参加者間の対話を促すことを意図しています。視線を集めるような派手さはないものの、参加者と運営者の双方に対する道具として、我々なりの答えが出せたと感じています。

このプロジェクトに挑んでくれた学生たちは経験が乏しく、実際に使用される製品をデザインするという責任と緊張で、戸惑いと不安も大きいものだったでしょう。

それゆえ、調査から試作、検証を繰り返すことで、充実したデザインの経験と自信が得られたのではないかと考えております。また、製作においては私たちだけでなくアーツ前橋のサポーターさんにもご参加いただきました。様々な繋がりを育むための什器制作が目的でしたが、プロジェクト自体にもつながりが生まれる時間になりました。

完成した机は、今月25日のあーつひろばのクッションカバーを織るワークショップでデビューします。ぜひ、アーツ前橋にお越し下さい。そして、脇役としての机にも少しだけ注目してみて下さい。

 

群馬大学教育学部美術教育講座
准教授 齋江 貴志さん
【略歴】1966年兵庫県生まれ。電機メーカーのデザイナー、大学助手等を経て2004年から現職。地域とデザイン教育に関する研究のほか、中之条ビエンナーレ等で作品発表を行う。