未来に花束を[3月10日号]

国際女性デーの8日、朝日新聞紙面のあちこちに「Dear Girls」と黄色で彩られた記事が花のようにちりばめられました。「性別にとらわれず、なりたい自分になれる社会」を目指そうと今年初めて取り組みました。
昨秋発表された「男女格差指数」で日本は144カ国中111位(世界経済フォーラム調べ)。雇用や収入、健康、教育、政治参画などの格差を数値化したものです。5年前は98位でしたが年々下落。過去最低記録に色めき立った弊社の女性記者たちが発案した紙面です。
読者参加型特集「女子力って何?」に続き、夕刊や朝日新聞デジタルの特集ページで連続インタビューを掲載。俳優の山口智子さんや黒柳徹子さん、テニス選手の伊達公子さん、モデルのぺこさんらが自らを振り返り、女性たちにメッセージを送りました。
感想や反応をツイッターなどで追うと、多くの女性が普段感じる「もやもや」を表現しています。例えば「家事育児は女性の役割」といった固定観念への違和感です。「恋ダンス」が流行したTBSドラマ「逃げ恥」で新垣結衣さん演じる主人公が「愛情の搾取に断固反対」とプロポーズに待ったをかけた行動とも相通じます。
想起するのは、シネマテーク高崎で観た映画「未来を花束にして」(サラ・ガヴロン監督)です。英国の女性参政権運動を描く作品ですが、主人公は洗濯工場で幼い頃から働く21歳の女性。高名な活動家でなく、彼女のような市井の人が気づき、行動することで世の中が変わります。私たちも花束を受け取って、一歩を踏み出したい。そう感じる一日となりました。(朝日新聞社前橋総局長 岡本峰子)

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