地域で新しい試みを始める面白さと難しさ(Vol.52)

「Kurun」の発行に携わった大学生やアーティストたち
「Kurun」の発行に携わった大学生やアーティストたち

編集長として携わった、前橋市の観光パンフレット「kurun(くるん)」が、おかげさまでふるさとパンフレット大賞の地域活性化センター賞を受賞しました。「kurun」の受賞理由として、「こんなものもあるぜ感」を強調した点があげられていて、従来の前橋のイメージからあえて踏み出した冒険を評価してもらえたようです。

このような視点を取り入れることができたのは、以前書いたメディアの「プロ」だけでなく、現代美術のアーティストから大学生、企業人、個人生産者、行政の人たちまで実に多様な人たちの関わりがあったからこそだと思っています。

多様な人材とその繋がりを他所から持ってくるのではなく、この地域で生み出せるのが前橋の大きな強みでしょう。また、東京のような膨大な人がいるような場所ではなかなか生まれにくい多様でありながらも密接な人との結びつきが大きな利点だと感じました。

一方で、地域での難しさとして、しがらみの強さや、強すぎる郷土愛などがあげられるように思います。いずれもその土地を深く愛していればこそのものですが、場合によっては排他的な空気や新しい試みを阻害してしまうこともあるのではないでしょうか。一見、非常識・異質に見えるものの中に、未来への可能性は潜んでいます。

今、前橋にはユニークで新しい試みがいくつも育ち始めています。それらが大きく育つように、この地域が寛容で風通しのいい場所になって行くことを期待したいです。過去の栄光や成功体験にとらわれすぎず、古いしがらみを乗り越えた先にこそ、前橋の未来があるのではないでしょうか。

 

前橋市観光パンフレット「kurun」編集長
福西 敏宏 さん
【略歴】1964年生まれ。東京で編集者として主に専門書の出版を手がける。2012年群馬大学大学院社会情報学研究科を卒業。2013年より「オリエンタル群馬」に勤務。上席研究員として主に前橋市や中心市街地の情報を発信するメディアの編集を担当。