寅さん全制覇の話[Vol.26]

芸人、ミュージシャン、俳優、声優など幅広く活躍する金谷ヒデユキさんが、芸人目線で世間を斬ります。不定期連載。

このコラムが掲載される頃にはどうなっているか分かりませんが、今現在東京はまだ緊急事態宣言は解消されておらず、自粛の日々。絶賛引きこもり中の金谷ヒデユキです。読者の中にも同じような境遇の方がいるかも知れません。そこで今回は「自粛生活のコツ」をお伝えしたいと思います。

まず、私がやったのは「自粛生活が終わったらやりたい事」と「今だから出来る事」を書き出す。これをやってみました。何でもいいんです。「海行きたーい」とか「友だちと飲み行ってバカ話したーい」とか。すると何だか見えて来ました。自分の本当の欲望って意外と身近なとこにあるんだなって事が。

「立身出世」とか「有名になる」とか「巨万の富」とかじゃなく「晴れた日に芝生の上でゴロゴロしたい」とか意外にシンプル。そして、とことん突き詰めて考えるてみると、一番のやりたい事は「生きる事」。自粛生活が終わった後に生きて呼吸してる事。これが一番やりたい事だなって気づきました。

第37 作で渥美清と長渕剛夢の共演。キヨシVS ツヨシ

さあ、そしたら次のステップ。今だからこそ、時間があるからこそ出来る事。私の場合は「ユーチューブ開設」「五十年分のコリを徹底的にほぐす」など色々あったのですが、その中の一つが「男はつらいよ 全作品鑑賞計画」です。ご存知、寅さん。渥美清演じる車寅次郎が全国各地を回りながら美しい女性と恋をし、時折ふるさと柴又に帰って来て騒動を起こす。全五十作におよぶシリーズをすべて見る。という計画です。現時点では第三十八作までたどり着きました。残り十二作。ここまで連続して見ていると色んな事に気づきます。そこで三十八作連続で見続けた男だからこその寅さん映画の魅力を発表します。

まず一つ目。何といっても寅さんを演じる渥美清の語り芸。旅の情景をその場にいるように語る名人芸。そして二つ目。妹さくらを演じる倍賞千恵子の美しさ。一作目の少女のような姿から年を重ね、ちょっとやつれていく姿もなお美しい。自粛生活が終わったら、倍賞千恵子ファンを集めて「桜を見る会」ならぬ「さくらを見る会」をやりたいと思うくらいです。

最後三つ目。シリーズ通して見ると、同じ出演者が別の役で出てる事に気づく。二代目おいちゃん役の松村達夫。この方がやたら出てくる。医者になったり学校の先生になったりお坊さんになったり仲人になったり変幻自在。見てると画面の中の寅次郎に「その人お前のおじさんだぞ」と教えたくなります。「志村うしろー」と同じ感情。そして何とマドンナ役を三回やってる竹下景子。三回とも別人として登場します。同じ顔をした別人と同じように恋をして別れる寅さん。学習能力がないにも程がある!ではこれから第三十九作を見ます。最後は淀川長治風に。それでは皆さん、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。

金谷ヒデユキ

金谷ヒデユキ/安中市出身。フジテレビ「タモリのボキャブラ天国」にて「地獄のスナフキン」の愛称で親しまれた音楽芸人。現在は音楽活動、芸人活動その他、声優として「機関車トーマス」、アニメ「けいおん」等にも出演。ツイッターのフォロワー募集中 https://twitter.com/kanaya_hideyuki