ことば[「ワンチャン」。テレビを見ていると、よく耳にします…]

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「ワンチャン」。テレビを見ていると、よく耳にします。私は「ワンチャンスの略=もう一度」と思って聞いていました。でも微妙に、つじつまが合わないのです。なので、会社の同僚(20代)に「どんな意味で使うの?」と聞いてみました。一瞬、哀れんだまなざしを向けられた(ような気がした)のですが、優しく教えてくれました。

ニュアンスが違っていたらごめんなさい。ざっくり言えば、「あわよくば」「可能性が少しある」という意味で使うみたいです。わかるような、わからないような。でも、時代に応じて言葉も変わっていくのでしょう。

一方、時代を越えて変わらずに深く心に刺さる言葉もあります。今月の朝日新聞群馬版に、連載「戦後75年 相田みつをの原点」を掲載しました(5、6、8日付)。書家で詩人の相田みつをの目を通して、戦争を考えるのが趣旨です。

その中で詩「わけ合えば」の一部が紹介されました。「うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる」「うばい合えばにくしみ わけ合えばよろこび」「うばい合えば戦争 わけ合えば平和」。コロナ禍のさなか、話題になっているとのこと。端的で、ずしんと心に響きます。

私が新聞記者になって26年。どれだけ伝えられたのか。相手の思いをちゃんと理解してきたのか。なぜだかいま、そんな事を考えています。言葉は難しい。

(朝日新聞社前橋総局長 熊谷 潤)

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