とにかく罰則? [新型コロナウイルス対策関連法が13日、施行されます…]

総局長日記タイトル画像

新型コロナウイルス対策関連法が13日、施行されます。改正感染症法は入院拒否や行動歴などの疫学調査拒否、うその申告に対する過料を盛り込み、改正特別措置法には営業時間短縮などの要請・命令に違反した事業者を過料とする規定が盛り込まれました。

入院したくても自宅待機を余儀なくされ、重症化しても受け入れてもらえない人が大勢いるのに、困窮する市民の側に感染拡大の責任を転嫁するのは本末転倒ではないか。「自助」「自己責任」「とにかく罰則」と押しつける側の与党議員たちは、緊急事態宣言下の東京・銀座で深夜の「クラブ活動」。大人も子どもも不安を抱えながら、懸命に暮らしているのがわからないのか。

入院拒否に50万円以下の過料を科す改正法が成立した3日、奈良県の荒井正吾知事は「理由があって入院、入所を拒否される方に過料はかけたくない。慎重に考えたい」と表明しました。

同県内では前日2日までに感染者39人が入院や療養施設への入所を拒否。理由は「知的障害などがあり付添人を準備できない」9人、「感染していない子どもや配偶者の世話」8人、「ペットの世話」8人――など。広い宿泊室での家族同伴療養やペット同伴の宿泊療養の相談、知的障害者に障害者施設で他の入所者と隔離して療養してもらい、看護師を配置するといった具体的な対策を検討中ということです。

群馬県も一人ひとりに寄り添う丁寧な議論、検討を深めているのでしょうか。「とにかく罰則」では逆効果ですよ。

(朝日新聞社前橋総局長 本田 直人)

掲載内容のコピーはできません。