現実はドラマよりも奇なり(Vol.19)アンカンミンカン ボケ担当 川島 大輔

「群馬県住みます芸人(※)」が、群馬に根差した独自活動を通して感じたことを、ユーモアたっぷりにつづります。月1回連載予定。
※2011年4月からスタートした「あなたの街に“住みます”プロジェクト」で、吉本興業の所属芸人が47都道府県に実際に住み地域を盛り上げいく活動。

群馬県住みます芸人
アンカンミンカン ボケ担当 川島 大輔

 

相田くんと応援団員川島

この仕事をしていてると本当にたくさんの人達との出会いがある。そしてその出会いは時に本当のドラマのような世界にいざなってくれることがある…。

先日、ある男子大学生と出会った。彼の名は相田くん。群馬大学の1年生で東京出身。この春、群馬にやってきたのだがコロナの影響でオンライン授業になり、学校にも数回しか行けておらず友だちもできない。そのせいで、「大学生になったら最初に達成しようとしていた目標」が思うようにはかどっていないという。しかし立ち止まっていられないということで、県内のメディアに協力してもらうために僕がいるFM群馬に売り込みにやってきたのだ。その目標は何かというと「群馬大学にラクロス部を作ること」だった。

「見知らぬ土地で大学1年生が部活を作るために1人頑張っている」そんなドラマでしか聞いたことのないような話に心が躍り、FM群馬の朝番組の中継コーナーで取材をするという形で相田くんに協力することにした。

中継当日の朝、相田くんがいつも練習しているという公園へ行くと、彼は自分で張り付けた×印に向かって1人で壁打ちをしていた。その姿を見て彼のラクロスに対する熱い想いを感じた。「ラクロス界の天才が仲間を増やしていき部活を作り、最終的には全国制覇する…」そんなドラマみたい話が実現するかもしれないと僕の心は踊りまくっていた。

中継前に「ラクロスの天才」である相田くんに情報を聞きだしていく…『幼少の頃からラクロスがある環境で育ってきた』『SNSで呼びかけて定期的にラクロスの練習会を開いている』『周りに彼を応援しているラクロス関係者がたくさんいる』…サクセスストーリーにありそうなエピソードがどんどん出てくる!…『ラクロスの知識は自分で調べた』…ほうほう…『ぶっちゃけそこまで詳しいルールは分からない』…ん?…『ラクロスはまだちゃんとやったことがない…』…なんだって!?…そう、驚くべきことに相田くんは高校までは野球部のラクロス未経験者だったのだ!

そんな相田くんだったが、「ラクロス部を作りたい」と言う時の目はまっすぐだった。初めはラクロス経験がないのに見知らぬ土地で大学に通えない状況の中、一人で部活を作るために全力で頑張っている相田くんが理解できなかった。しかし、相田くんと話しているうちにその感情は「尊敬」と「応援する気持ち」に変わった。

相田くんは「ラクロスの天才」ではないかもしれないが、「行動力の天才」だ!…そんなこんなで晴れて相田くんの応援団員になった僕は、彼が卒業する3年半後までラジオという形で協力し続けるつもりだ。これを読んでいるあなたも「群馬大学 ラクロス部」を検索して是非、相田くんを応援してほしい!!…by相田応援団員・川島大輔。

川島 大輔

かわしま・だいすけ/83年5月16日生まれ。О型。群馬県住みます芸人アンカンミンカンのボケ担当。みどり市出身。救急救命士の国家資格を持っていながら何を血迷ったか2007年吉本芸人になる。趣味は自転車・カメラ・爪を噛むこと。ボケに困って追い込まれると水色のポスカで顔に鼻水を描く

 

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