群馬クレインサンダーズ運営会社「群馬プロバスケットボールコミッション」社長 阿久澤 毅さん

「『群馬にサンダーズがあって良かった』と思ってもらえるようなチームにしたいですね」と笑顔で語る阿久澤社長=前橋の群馬プロバスケットボールコミッション

「今季のサンダーズは、『B2優勝、B1昇格』という大勝負を賭けて戦います。その頑張りを是非、会場で見守って下さい」

群馬の高校野球界から群馬のプロバスケットボールチームの世界へ‐今年3月まで勢多農林高校野球部監督を務めていた阿久澤毅さんは今年7月、国内男子プロバスケットボールリーグ・Bリーグ2部の群馬クレインサンダーズ(以下サンダーズ)の新社長に就任した。新天地での目標は、「サンダーズをB1昇格させ、日本一のチームにすること」。その言葉を裏付けるかのように今月3、4日、サンダーズはホームのヤマト市民体育館前橋で茨城ロボッツと開幕試合を戦い、2連勝を勝ち取り幸先の良いスタートを切った。今季、「前人未踏~It‘s Show Time~」をスローガンに掲げるサンダーズ。そのかじ取りを担うトップに、チーム運営や今季の意気込みなどを聞いた。

この2連勝は本当に大きい

― 開幕2連勝を飾りました

ほっとしましたね。10月3、4日の開幕戦は、我々にとって天王山ともいうべき重要な試合でしたから、2連勝を飾れたことは本当に大きい。今シーズンは始まったばかり。勝ち続けるのは容易なことではありませんが、良いスタートが切れチームに勢いがつきました。「前人未踏」、間違いなく行けるという手応えを感じています。

― 初めての開幕戦はいかがでしたか

会場に来て下さったファンの皆さんの熱烈な声援が伝わってきて、選手も運営スタッフも大いに励まされました。感謝の気持ちでいっぱいです。私自身、試合の熱気を肌で感じ、「バスケって良いな、面白いな」と改めて思いました。来場者の年齢は幅広く、「楽しかったよ」「また来ますね」と口々に言ってくれたのがうれしかったです。これからも、来て下さる方々に喜んでもらえるような試合が出来るよう頑張っていきたいですね。

様々な企画を打ち出していきたい

― 社長就任から3カ月が経ちました

本当にあっという間でした。不慣れな上に、新型コロナウイルス感染対策も講じなくてはいけませんから、なかなか思うような活動が出来なかったというのが本音です。ただ、そんな中でもファンの方々、地域の方々、スポンサー企業の方々など、色んな方と積極的に交流を図ってきました。多くの気づきや発見があり、クラブ運営には複雑な状況に対応する力が必要だということを短期間で学ばせて頂きましたね。

― 様々な立場の方々と関わる中で感じたことは

想像していた以上に、多くの方がサンダーズを支えて下さっていることが分かりました。本当にありがたいことです。一方で、認知度や知名度はまだまだ低いと言わざるを得ません。ただ、それは逆に開拓の余地が大いにあるということ。サンダーズの試合を観てくれる人をいかに増やすか。県民の方が年に1回、2回と会場に足を運んでくれるよう、スピード感を持って様々な企画を打ち出していきたいです。

― 具体的な構想はありますか

プロバスケットボールは時間の流れや展開が非常に早く、観ていて飽きないところが魅力です。迫力があってスリリングで高揚感も得られますから、あらゆる世代が楽しめるスポーツでしょう。なかでも私がおすすめしたいのが女性、特に若いお母さん方ですね。喜んだり残念がったり、感情が瞬間的に上がったり下がったりするので日常のストレスを発散出来るのではないでしょうか。その面白さ、凄さを体現し観る人を感動させるのがプロの選手です。サンダーズの選手も皆、カッコいいですよ(笑)。「遠くのジャニーズより近くのサンダーズ」といった感覚で、気軽に試合会場に来てくれるような仕掛けをどんどん進めていきたいですね。そして、試合内容だけでなく会場を盛り上げるチアやDJのパフォーマンス、音や光のショーなど、総合的な空間演出を高めていくことも大切でしょう。ちなみに、10月28日に行われる次のホーム戦では、試合終了後に花火大会を開催します。今年、前橋の花火大会が中止になってしまったため、代わりに「サンダーズがどでかい花火を打ち上げよう」と急きょ、企画しました。今後も、色んなジャンルやスポーツ選手の方々とのコラボ企画を構想しています。県民の皆さんに、「群馬にサンダーズがあって良かった」と喜んでもらえるような存在にしていきたいですね。

ぐんまちゃんのように愛されるチームに

― 高校野球監督からBリーグチームの社長という異色の転身を遂げました

話を頂いた時は衝撃が大きすぎて、どういうことなのか理解するのが難しかったです(苦笑)。桐高野球部時代に対戦した元プロ野球選手の金石昭人さんが私を推薦してくれて、親会社のオープンハウスから声をかけて頂きました。本当にありがたい話。出来る出来ない以前に、金石さんの思いに応えたいと迷わず引き受けました。

― 社長としての使命を教えて下さい

やるべきことは全体の方向性、ビジョンをしっかり内外に向かって示すことでしょう。選手と運営スタッフとでは立場が全く違いますが、目指すべきところは一緒。今季、「前人未踏~It‘s Show Time~」というスローガンを掲げ、「B2優勝、B1昇格、日本一」に向かって突き進む群馬クレインサンダーズを多くの人に応援してもらうため、トップ自らが広く力強く発信していくことが求められています。選手と運営スタッフという両輪に加え、地域の方やファンの方、クライアントの方など色んな方たちとコミュニケーションを密に重ねながら、運営のかじ取りをしていきたいと思っています。

― どんなチームにしたいですか

「ぐんまちゃん」のようなチームです。ゆるキャラグランプリで全国1位に輝き、群馬のみならず全国でも抜群の知名度と人気を誇っていますから、分かりやすいですよね(笑)。日本一を目指している我々は、「追いつけ、追い越せ、ぐんまちゃん」という、もう一つのスローガンを掲げ、親しみやすく多くの人に愛されるチーム作りに励んでいます。サンダーズの試合を観ることで、楽しくなったり元気になったり。そんな、夢や希望を与えられるチームにして、群馬を大いに盛り上げていきたいですね。

― 群馬の皆さんにメッセージを

コロナの影響でイベントが軒並み中止となり、ファンや県民の皆さんとの交流の場が持てない状況が続いています。今、我々に出来ることは本業のバスケットを観てもらうことしかありません。今季のサンダーズは、「B2優勝、B1昇格」という大勝負を賭けて戦います。大きな男たちが真剣に愚直にバスケットと向き合い、勝利へ挑んでいく姿は観る人に感動や共感を与えられると信じています。ファンの方、地域の方、スポンサーの方、それぞれの期待を裏切らないよう運営スタッフ、選手一丸となって戦いますので、その頑張りを是非、会場で見守って下さい。応援、どうぞよろしくお願いします。
(文・写真 中島美江子)

【あくざわ・つよし】

60年前橋生まれ。78年、桐生高校の主砲として春夏連続で甲子園に出場。春の大会では4強入りし、王貞治以来の2試合連続ホームランを放ち、「王貞治2世」と呼ばれた。全12球団からのスカウトを断り群馬大学に進学。卒業後、高校教諭となり母校や太田高、渋川高、勢多農林高で野球部監督を務めた。今年7月、サンダーズを運営する群馬プロバスケットボールコミッションの社長に就任

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