高橋3兄弟 初の作品集を刊行

郷土が誇る偉大な画家

富岡市に生まれ、ともに美術の道に進み、美術教師、画家として活躍した、高橋沢三(1901~79年)=写真①、五郎(09~54年)=写真②、重朗(11~94年)=写真③=の初の作品集が刊行された。地元ではほとんど知られることのなかった明治生まれの兄弟の画業に光が注がれる。

発刊のきっかけは、昨年3月、生まれ故郷の富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館で開かれた企画展。「郷土の画家 高橋三兄弟展」と題し開催されたが、コロナ禍で会期が短縮に。集めた作品を記録し後世に残そうと、3兄弟のおいの高橋伸二さんが委員長となり、親類で「高橋重朗後援会」会長の高橋保男さん、同美術館の前館長・桜井豪樹さんとともに編集委員会をたちあげた。作品集には、展覧会に出品された作品のほか、新たに見つかった沢三のスケッチ画など、未公開の作品をあわせ113点を収録した。

3人は、6人兄弟の長男、三男、四男として額部村(現富岡市岩染)に生まれた。旧制中学を卒業後、沢三と五郎は東京美術学校(現東京芸術大)へ、重朗は多摩帝国美術学校(現多摩美術大)へと進んだ。旧家に生まれたとはいえ、当時地方の農村から美術学校に進むことは珍しく、保男さんは「世の中はまだ貧しい時代だった。母親の理解と教養があったからでしょう」と話す。

画集には、兄弟の人柄や母・かつに触れた親族からの寄稿文も掲載。3人がどのような道をすすみ、どんな作品を残したかが丁寧に記録されている。関係者は「今後もさらなる調査を期待したい」と話す。

■昨年12月に完成した画集「郷土の画家 高橋三兄弟作品集―明治生まれの沢三・五郎・重朗―」=写真④=は富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館などで販売。1500円(税込み)。問い合わせは高橋保男さん(0274-63-8415)へ。

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