郷里で初の弾き振り

ピアニスト 菊池洋子さん

モーツァルトのコンチェルト
群馬シティフィルと初共演 前橋で明日26日

ウィーン在住のピアニスト・菊池洋子さん(1977年前橋生まれ)が明日26日、同市の昌賢学園まえばしホール(前橋市民文化会館)でモーツァルトのピアノ協奏曲の「弾き振り」に初めて挑戦する。地元で活動する老舗アマチュアオーケストラ「群馬シティフィルハーモニーオーケストラ」と、先月から今月までに5回程度の練習を重ね本番に臨む。

「もう少し軽やかに進んでいくと良いですね。少しスキップするような感じでお願いします」 今月16日、同ホールで2回目の練習が行われた=写真上。約2時間、菊池さんと団員は曲の細かなニュアンスを確かめ合いながら、本番さながらのリハーサルを終えた。同オケコンサートマスターの片山正子さんは、「モーツァルトの名手である菊池さんから、コンチェルトの魅力を教えてもらっています。楽団員にとって難しい曲ですが、菊池さんと一緒に曲を創り上げていく経験は楽しくてワクワクします」と笑顔で語る。

「弾き振り」とは、文字通り楽器を弾きながらオケの指揮をすること。一人二役をこなさなければならず大変だが、自らが目指す音楽をより正確に団員に伝えられるという。「弾き振りは長年の夢でした。ただ、簡単ではありません。ウイーンの音楽大学で指揮の指導を受けたり弾き振りの公演を見に行くなど、出来る限りの準備を重ねてきました。全楽器の楽譜を把握しなければならず一から勉強し直しましたが、何度も弾いているモーツァルトの奥深さ、素晴らしさに改めて気づくことが出来、音楽家として成長できたような気がします」と菊池さん。

©Yuji Hori

当日は、菊池さんがライフワークにしているモーツァルトのピアノ協奏曲第20番と同23番を演奏。短調の20番はオペラ「ドン・ジョヴァンニ」をほうふつとさせるドラマチックな曲で、長調の23番は特に第2楽章のテンポがゆったりとしており、華やかさと美しさを兼ね備えた名曲中の名曲だ。

菊池さんにとって、年に1度の郷里での演奏は特別な思いがあるという。「昨年はモーツァルトのソナタ全18曲の演奏、今年は弾き振りに初めてチャレンジします。地元では毎年、新しい菊池洋子を見せたい。今回も、前橋ならではの公演になっていますので是非、会場で楽しんで欲しいです」と呼びかける。

午後6時開演。全席自由一般2000円。同ホール(027・221・4321)。

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