群馬発 Bean To Bar

こだわりのクラフトチョコレート

カカオ

原材料カカオ豆の選別から、板チョコになるまでを作り手がこだわって製造する「ビーン・トゥー・バー」チョコレートが全国に広がりをみせている。一昨年から「ビーン・トゥ・バー」に取り組んでいる「中之条クラフトプロジェクト」と、昨年製造をスタートした高崎の雑貨店「ジャムカバー」、さらにバレンタインに合わせ、「ビーン・トゥー・バー」を販売する前橋の「白井屋ザ・パティスリー」と高崎髙島屋で開催される祭典も紹介する。

「ビーン トゥ バー」とは…
カカオ豆(Bean)から板チョコレート(Bar)になるまで全工程(選別・焙煎・摩砕・調合・成形)を自社工房で一貫して製造すること。15年ほど前にアメリカで始まったと言われる。「クラフトチョコレート」とも呼ばれ、今や日本各地で製造、販売されている。豆の原産国、焙煎の仕方、作り手によって酸味や苦み、香り、甘みなどが際立った個性豊かなチョコレートができる。

「何か面白いことやってる人たちがいる」こと発信中
中之条クラフトプロジェクト

カカオ豆と商品パッケージ=写真右、中之条の山並みをイメージした個性的なデザインの板チョコ=写真左=は西岳さんが制作した型で製造。定番は「ベリーズ産74%」「ホンジュラス産80%」「ホンジュラス×インド70%」の3種(各税込864円)

中之条町でクラフトチョコレートに挑んでいるのは、「町で暮らしながら何かを形にしたい」と様々な活動や手仕事に取り組む民間団体体「中之条クラフトプロジェクト」だ。

中之条クラフトプロジェクトのメンバー

メンバーは代表の西岳拡貴さん(37=長崎県出身)、篠原大地さん(32=同町六合地区出身)、篠原千明さん(37=滋賀県出身)、山川恵里菜さん(38=高崎市出身)の4人。それぞれ別に仕事を持っており、当番制でチョコレートの製造を行っている。彫刻家でもある西岳さんは2017年の国際芸術祭「中之条ビエンナーレ」で参加アーティストとして同町に滞在。これを機に地域おこし協力隊として中之条に暮らした2年間に他の3人と出会い、一昨年に同プロジェクトを立ち上げた。都内のビーン・トゥー・バー専門店で研修を受けた。材料はカカオと砂糖のみ。多様な豆で試作を行い、現在は産地が異なる3種に絞って製造している。また、作業工程で出るカカオの殻を使った染布にも挑戦。「中之条で何か面白いことをやっている人たちがいると、広く知ってもらいたい。クラフトチョコレートはその土台として位置付けています」と話す。商品は町内の中之条ガーデンズや交流センターつむじ、高崎の「スーパーまるおか」などで販売中。問い合わせは同プロジェクトHP(https://nakanojokraft.com/)内のフォームから。

 

ゆっくりと味わう「時間」も楽しんで
ジャムカバー(高崎)

カカオ70%の「Bean To Barチョコレート」。各税込1080円。カラフルなオリジナルパッケージは、オーナーのオザワさんがデザイン

「おしゃれ」「かわいい」「ユニーク」な国内外の雑貨や菓子、オリジナル商品などを販売する「JAMCOVER(ジャムカバー)」(高崎市下室田町)では昨年10月から、カラフルなパッケージに包まれたオリジナルクラフトチョコレートを販売している。

型からチョコレートを取り出すスタッフ。左奥はカカオの焙煎機

同店では7年ほど前から全国の名店によるビーン・トゥー・バーを9~4月の涼しい時期を中心に取り扱ってきた。群馬でもファンが増えてきたことから、自分たちでも作ってみようと昨年、製造を開始した。店舗敷地内に立つ「おやつ棟」内の工房で日々、試行錯誤を重ねながらチョコレート作りを行う。ガーナ(西アフリカ)、ベトナム(東南アジア)、ベリーズ(中央アメリカ)の豆を使用。

オーナーのオザワリエさんは、「コーヒーのように豆の産地によって特色があり、ローストの仕方によっても味が変わる。それらの違いに合わせて砂糖の種類も変えています。手がかかっている分、口の中でゆっくりと溶かしながら味わう「時間」も楽しんでもらえたら嬉しい。これからも理想の味を追い求め、さらにブラッシュアップしていきたい。また、全国の多彩なクラフトチョコも店頭に並べているので、是非お試しください」と話す。同店(027-384-4471)。

生産者の自立支援に還元 MAAHA(マーハ)のチョコも
年に一度のショコラの祭典「アムール・デュ・ショコラ」
高崎髙島屋

高崎髙島屋では、カカオにこだわった「MAAHA・花のチョコレート」(9種9個入、税込3537円)=写真=を、27日から販売。食べられる花・エディブルフラワーを使用した華やかなチョコレートだ。「MAAHA」とは、当時ICUの学生だった女性起業家、田口愛さんがガーナで立ち上げたチョコレートブランド。有数の生産国ガーナでは多くの農家は「自分たちの生産したカカオのチョコを食べたことがない」という実情があることを知った田口さんが、売り上げの一部を農家の自立支援などに還元する仕組みを作った。髙島屋のバイヤー中村和正さんは、「食べる人も生産者もハッピーになるチョコを手に取ってほしい」と呼び掛ける。髙島屋限定販売。同店では、バレンタインデー向けに「年に一度のショコラの祭典・アムール・デュ・ショコラ」(27日~来月14日)を6階特設会場で開催。100ブランドが集結。午前10時~午後7時(最終日同5時)。同店(027-327-1111)。

カカオにこだわったバレンタインタルト
白井屋ザ・パティスリー(前橋)

バレンタインタルトショコラ  ⓒ Shinya Kigure

前橋の「白井屋ホテル」敷地内にあるフレッシュフルーツタルト専門店「白井屋ザ・パティスリー」では、人気パティシエ延命寺美也さんが監修するカカオにこだわった2種類のタルト「バレンタインタルトショコラ」と「ダリケーカカオタルトムースショコラ」を予約販売している。使用するカカオは、京都にあるカカオプロデューサー「Dari K (ダリケー)」が手掛けた。世界有数のカカオ生産国であるインドネシアのスラウェシ島で、栽培や発酵技術を指導した契約農家によって収穫されたもの。タルトのムースやガナッシュ(チョコレートクリーム)、生地の部分に贅沢に生かし、「濃厚なおいしさがぎゅっと詰まったタルト」に仕上げている。延命寺さんは、「チョコレートを試食したとき、カカオの香りの素晴らしさに驚き、ワクワクしながら試作ができました。プレゼントにも、自分へのチョコレートにも食べていただきたい一品」と勧める。予約は来月11日まで(ホールのみ)。販売と受取は同14日まで。1ピース900円(税込)、1ホール7000円(同)。同店(027-231-2020)。

掲載内容のコピーはできません。