梨の里明和町に 直売所「なしの駅」オープン

若手、ベテランら農事組合法人「梨人」が運営

5日にオープニングセレモニーが行われ、6日から営業を開始した「なしの駅」

明和町に、特産である梨の直売所「なしの駅」がオープンした。町内の梨生産者4人による農事組合法人「梨人(なしんちゅ)」が町の支援などを受けて建設、今月5日、完成セレモニーが開かれ、翌日から営業を開始した。明和の梨の美味しさをより一層、広くPRしていく。

特産・和梨の販売拠点として

なしの駅は、明和町田島地区の梨農家が点在するいわゆる「なし街道」沿いに建つ。梨人の管理する各農園で収穫した梨を選別する選果所も兼ねている。営業は毎日午前10時からで、なくなり次第終了となる。初日の6日は午前で売り切れたという。梨人の矢沢宏太理事(58)は「こうすれば十分利益が出るんだというモデルになりたいですね」と意気込む。

現在、販売しているのは幸水が中心で、今月下旬から9月上旬にかけて秀玉、豊水、9月中下旬からあきづき、新高(にいたか)、10月以降に新興(しんこう)などと、収穫できる品種が移っていく。

梨の産地・明和を再生させ盛り上げたい

「つる舞う形」の首のあたりに位置する明和町は、利根川や谷田川流域にある。土地が肥沃なことから明治時代から梨栽培が始まり、盛んになっていった。しかし、徐々に農家の高齢化や後継者不足が加速し、最盛期の昭和40年代に約100軒あった農家が現在では約20軒あまりに減少、それに伴い農地も5分の1ほどに減ってしまった。

「この町を梨の産地として再生させ、さらに盛り上げたい」と2013年、首都圏から移住してきた代表理事の東秀人さん(43)ら若手農業者らが中心となり任意団体「梨人」を立ち上げ、一昨年には農事組合法人として組織を新たにした。

梨人は取り組みの一つとして、直売所の建設を掲げ、一昨年にはクラウドファンディングも実施。その資金と地方創生推進交付金を活用、町の支援も受け、なしの駅の完成にこぎつけた。待望の開業を迎えた東代表理事は「私が明和に来た当初からの夢の一つが実現して、感無量。梨人としては今回のオープンが事業のスタートであり、今後の事業展開の拠点として期待しています」と話す。

基準クリアした梨ブランド化

梨人のメンバー。右上から東代表理事、関本忠理事、矢沢宏太理事、手前が関本直記理事

梨人は、昨シーズンから、大きさ、形、糖度を機械で測定し、基準値を超えた梨をブランド化して販売している。名前は「明」和の「あか」と「梨」の「り」という読みから「akari」。梨産地としての未来を照らす「灯り」になるようにとの意味も込めた。幸水や豊水、あきづきなど全8品種で、ネットショップ限定で売り出す(3キロ㌘入り、送料・税込6500円)。

梨人の東代表理事は、「『akari』を先鋒隊として明和産の梨のブランド化を進めていきたい。このなしの駅によって、群馬の梨、北関東の梨と言えば『明和』と広く認識されるような、梨のブランド化を目指す拠点となれば嬉しい。手間暇かけて育た梨を味わいにぜひ、明和に遊びに来てください」と呼びかける。

キャラや加工品で梨を応援

高崎、前橋に次ぐ県内有数の和梨の産地である明和町は、梨を年間を通しての特産物にし販路と消費量増大につなげようと、明和産「豊水」100㌫使用のワイン「梨のほほえみ」(720ml)=写真②=を2007年から販売。現在ではふるさと納税の返礼品としても採用している。甘みのある芳醇な香り、フレッシュ感のある口当たり、ほどよい酸味などが特徴で、フルーティーな味わいだという。

「ほんのり甘いふるさとの味」をコンセプトにした清涼飲料水「梨の雫~めいわ~」(500ml)=写真③=も町内産の豊水を使用。町内のコンビニやスーパー、農産物直売所ぽんぽこなどで販売中だ。同町産業環境課(0276-84-3111)。

一方、同町のイメージキャラクター「メイちゃん」=写真①=は、頭に名産の梨をモチーフにした帽子をかぶっており、明和の梨のPRに一役買っている。今年5月には明和町商工会青年部(0276-84-3130)がメイちゃんの「LINE」スタンプを作成。1セット40種類、120円で購入できる。

■なしの駅
明和町田島526-1 ☎0276-55-1653
HP=https://nashinoeki.com/

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