サンゴ由来成分の湯 アトピー改善に効果 群馬大×ヤマト 共同研究で実証

共同研究の結果を発表した板橋教授(左)、
茂木教授(中央)、斎藤取締役執行役員(右)

群馬大大学院理工学府の板橋英之教授と同大学院医学系研究科の茂木精一郎教授の研究グループは18日、建設プロダクトのヤマト(前橋)との共同研究でサンゴ由来の天然鉱物「サンゴライト」を溶かした水がアトピー性皮膚炎の改善に効果があるとする研究結果を発表した。

本研究は、板橋教授らが行っていたサンゴライト粉末を使った草津温泉水の中和実験で、「手がスベスベになる」という学生の発言がきっかけだった。研究の結果、サンゴライトの溶液にはカルシウムとマグネシウムが豊富に含まれており、保湿効果が高いことが判明。群馬銀行主催のビジネスプランコンテストに応募したところ、奨励賞を受賞。それを機に2019年、ヤマトと共同研究契約を結び、サンゴライト溶解装置を開発した。伊勢崎の温浴施設「湯楽の里」に「サンゴライト化粧水風呂」として導入すると、「肌がしっとりした」「かゆみが治まった」など利用者から好評を得たため、茂木教授と連携し効果の検証を行った。アトピー性皮膚炎患者に臨床実験をしたところ、サンゴライトを溶かした湯に入ると皮膚からの水分蒸発量が減少し肌のバリア機能が高まり、症状の改善に繋がることが分かったという。

現在、湯楽の里サンゴライト風呂に入浴できるほか、群馬大発ベンチャー企業「グッドアイ」のオンラインショップなどでサンゴライト入浴剤=写真右=が購入できる。板橋教授は、「サンゴライト風呂は化粧水に浸かっているような感覚と思ってもらえると分かりやすい。アトピー性皮膚炎などの改善に少しでも貢献できればと思っています」と話す。

ヤマトの斎藤利明取締役執行役員は、「産学連携を通して、地域貢献に取り組んでいます。サンゴライトを温浴施設に展開していますが、将来的に福祉施設に導入すれば肌トラブルを抱えている高齢者とケアする人の双方の負担軽減に繋がるのではないか」と期待を寄せた。

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