動物写真家 小原玲さん死去

アザラシの赤ちゃんと一緒に(小原さん提供)

アザラシやシマエナガの写真で人気があった動物写真家、小原玲さんが今月17日、北海道網走市内の病院で死去した。60歳だった。自宅は名古屋市。妻は小説家で大学教授の堀田あけみさん。葬儀は家族葬で行った。

県立前橋高校出身の小原さんは、在学中に写真コンテストで全国グランプリを獲得。卒業式では、高校野球で完全試合を成し遂げた松本稔さんと共に学校表彰。茨城大学に進学し、卒業後は、報道写真家として、天安門事件、湾岸戦争などを取材。写真週刊誌「フライデー」(講談社)では、田中角栄の病床やロス疑惑などをスクープ。天安門事件の写真では、アメリカのLIFE誌、The Best of LIFEに選ばれた。

小原さんが撮影したシマエナガ(小原さん提供)

1990年、アザラシの赤ちゃんとの出合いをきっかけに、「私のアザラシの写真を手帳に挟んでいる女性を見て、大切にしてもらえる写真を撮りたい」と動物写真家に転身した。地球温暖化による流氷の変化とアザラシの赤ちゃんの被害をライフワークとした。2016年には、「暖冬で流氷が少なく、アザラシの取材ができないので、代わりに野鳥シマエナガを」と、北海道で撮影。モモンガの撮影なども続け、最期まで「動物写真家」を貫いた。主な著書「アザラシの赤ちゃん」(文春文庫)、「ほたるの伝言」(教育出版)、「シマエナガちゃん」「もっとシマエナガちゃん」(講談社ビーシー)など多数。

朝日フォトコン・中高生フォトコンで審査する小原さん(右から2番目)

15年から21年まで、朝日中学生高校生フォトコンや朝日フォトコンの特別審査員として審査を務めた。16年の講演会(高崎シティギャラリー)では、「自分の好きという感性を大切にすることが夢に近づく第一歩」と力説した。謹んでお悔やみ申し上げます。(谷 桂)

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