群響ミュージックアドバイザー最後の定期演奏会

指揮者 小林研一郎さん

日本を代表する指揮者小林研一郎さん(81)が、3月19日、群馬交響楽団のミュージックアドバイザーとして最後の定期演奏会で熱の入ったタクトを振った。

コバケンの最後の演奏会とあって、チケットは約1カ月前には完売になり、当日は満席。初のオンラインでのライブ配信も行われた。

プログラムの前半は、ロストロポーヴィチ国際チェロコンクールで日本人初の優勝をしたチェリスト宮田大さんとの共演。親がウクライナ出身であるチャイコフスキー作曲による「ロココの主題による変奏曲イ長調」を演奏。後半は、同「交響曲第5番ホ短調」を指揮すると、客席からは、ブラボーと書かれた横断幕も。

小林さんは、「僕たちの人生で知ることができないような、どす黒い音や祈りの音、デリケートな音や慟哭など肉薄した音で、群響がチャイコフスキーの曲を演奏した。ここでひとまず区切りになるが、まだまだ続きます」とあいさつした。客席で聴いていた群響理事の山本一太県知事は「マエストロ、すばらしい演奏をありがとうございました。深い愛情をもって群響に接してくださった」とお礼の言葉を述べた。アンコールは、アイルランド民謡「ダニーボーイ」をしみいるような音で演奏し、コバケンはタクトを振り終えた。

退任後小林さんは、桂冠指揮者になる予定。今後の群響との共演予定は、2023年2月18日に、サントリーホール(東京都港区)で、同19日には高崎芸術劇場で、共にバイオリニストの神尾真由子さんを迎えて、チャイコフスキーの「バイオリン協奏曲ニ長調」などを演奏する。同楽団の多胡尚徳広報課長は、「ファンを大事にした演奏を常に心がけていたマエストロに感謝したい」と話した。同楽団(027・322・4944)

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