総文祭で日本一 時代を映した写真作品が高評価

最優秀賞と文部科学大臣賞 W受賞
高崎北高3年 田村 南海さん(高崎)

田村南海さん(3年)が撮影した作品「マスクの中の表情は」

全国から各都道府県を代表する高校生が集結し、芸術・文化を発表する「文化祭のインターハイ」とも呼ばれる「全国高校総合文化祭(以下、総文祭)」(文化庁、全国高等学校文化連盟など主催)。今年7月末~8月に東京で開催された第46回総文祭の写真部門で、県立高崎北高校(佐藤幸弘校長)写真部・田村南海さん(3年)の作品「マスクの中の表情は」が最優秀賞に輝き、同賞3人の中の最高位である文部科学大臣賞も同時に獲得した。同校写真部は創部3年目で念願の日本一となり歓喜に沸いている。

受賞作品は東京都美術館で展示され、8月に浅草公会堂で行われた授賞式には、田村さんのほか撮影に協力した部長の横田一真さん(3年)、顧問の反町文子教諭が出席し、喜びあった。

田村さんの作品は、1年生の冬に写真部の活動として学校で撮影したもの。寒さが増して来た初冬の放課後、いつも一緒に活動していた5人の部員がグループになって撮影。マスクを着けた同級生の金井里紗さんがモデルになり、冷たいガラスに「ハー」と息を吹きかけたところ、顧問の反町教諭が「何か書いてみれば」と声をかけた。金井さんは雨粒の付いた窓に笑顔の「ニコちゃんマーク」を描いたという。

田村さんは、「ちょうど日が暮れて外はブルーに染まりました。部員たちは暗い中、演劇部から借りてきたライトを下から照らすなど工夫を試みてくれて、私はカメラを手にニコちゃんにピントを合わせ夢中で撮影しました」と振り返る。今までも関東大会や朝日中高生フォトコンなど受賞歴が豊富で実力派の田村さんだが、この作品は皆で協力して、何枚も撮影したうちの一枚。コロナで思うように活動ができない中、部員が団結して挑んだ撮影だった。

タイトルは当初、「マスクの下」だったが、提出の前日、顧問に「良い写真だから、もっと伝わるようにしよう」とアドバイスをもらい、田村さんは、「コロナ禍でも、モデルの金井さんがほほ笑んでいる本当の気持ちを伝えたいと思いを込めて『マスクの下の表情は』に書き直したことも受賞につながったかもしれない」と分析。大会審査員は「マスク姿はネガティブなコロナの象徴であるが、そのマスクを逆に生かし、遊び心を感じる温かい前向きなメッセージが伝わった」と講評した。

反町教諭は、「田村さんが頑張ってくれて、皆様から素晴らしい講評もいただけた。日本一を受賞する生徒を育成できて感無量。今後も生徒たちの創造力を伸ばしていきたい」と語った。

田村さんは、「一報をもらったときは、とにかく驚いてうれしかった。写真部は引退となりますが、これからも好きな動物などを撮影したい。後輩も写真を楽しんでもらえればいいですね」と語った。     (谷 桂)

先月、高崎北高写真部は県庁を訪れ、平田郁美県教育長(前列中央)らに快挙を報告した。前列向かって右から、同校写真部部長の横田一真さん、受賞したキャプテンの田村南海さん、一人置いてモデルになった副部長の金井里紗さん、副部長の浦野遥さん。後列右から鈴木教育次長、佐藤幸弘学校長、顧問の反町文子教諭、天野高校教育課長
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