観て 触って 楽しんで 「感じる彫刻展」

盲目の彫刻家・三輪さんら県ゆかりの作家と群大生 “触れる作品”を発表
前橋のヤマトギャラリーで来月3日まで

作品を触って鑑賞できる展覧会「見えない人、見えにくい人、見える人、すべての人の感じる彫刻展」が、前橋のヤマト本社1階ギャラリーホールで開催中。展示に合わせ週末ごとに鑑賞会やトーク会も行われ、家族連れなど多くの人が訪れている。視覚障がいの有無に関わらず気軽にアートが楽しめる同展は、作品や「観ること」への理解を深めると共に、多様な世代や立場の人たちの交流の場、出会いの場になっている。

同展は、盲目の彫刻家・三輪途道さん(下仁田)が代表理事を務める一般社団法人メノキを中心に、ヤマトや朝日印刷工業、ジンズといった県内企業やアーツ前橋、群馬大学などでつくる「視覚障がい者と晴眼者のための共生芸術活動環境創造プロジェクト」実行委が企画。「障がいを持つ人も持たない人も、芸術文化を通して豊かな人生が歩める社会を実現しよう」と、10月から2期に分けて実施。前期の三輪さんの個展に続き、今月からは後期のグループ展が始まっている。

グループ展には三輪さんを始め、カナイサワコさん(前橋)や野村たかあきさん(同)、林耕史さん(同)、齋木三男さん(中之条)、丸尾康弘さん(桐生)、群大生が触れる作品を出品。木や石、フェルトなどを用いた多彩な立体約20点が並ぶ。三輪さんは、「触れる展覧会は珍しく、美術ファンだけでなく親子連れなど様々な人が足を運んで下さっています。子どももお年寄りも、誰もが一緒にアートを楽しんで欲しい」と呼びかける。

展覧会に加え、週末ごとに行われるイベントにも企業や美術館、大学などが関わっているが、多様な機関の連携が好循環を生み出している。19日に行われた鑑賞会を、アーツ前橋のボランティアと共にサポートした同館の辻瑞生学芸員は、「美術館以外の場所で観賞サポートを行ったのは初めて。この経験を活かし、アーツ前橋でも触れる彫刻展や鑑賞会を企画したい」と意気込む。また、学生とグループ展に参加している群大教授の林さんは、「第一線で活躍する作家と一緒に展示が出来るのは、学生にとって貴重な機会で大きな刺激になっている。色んな立場の人との交流を通して、新しい世界に触れ視野を広げて欲しい」と期待を寄せる。

感じる彫刻展は12月3日まで。午前9時半~午後5時。日曜祝日は休館。今月19、26、12月3日午後1時半からは出品作家によるトーク会も実施。入場無料。メノキ( 090-9014-4214 )。(中島美江子)

 

石や木、フェルトなど様々な素材で作られた立体が並ぶヤマトギャラリーホール

 

母親と訪れた昼間真悠子さん(8=前橋)は、「同じ石なのに、ツルツルしていたりザラザラしていたり。触っていると色んなことが想像出来てすごく楽しい」とニッコリ

 

三輪途道さんの彫刻「蚕神猫様」を手で触りながら鑑賞する来場者
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