9月10日は 球都桐生の日

公民一体となり「野球」で地域を盛り上げよう

桐生市は戦前から野球が盛んな地域で、「球都」としてその歴史や実績がたびたび話題となってきた。「野球」をキーワードに地域を盛り上げようと昨年、市を中心とした「球都桐生プロジェクト」が立ち上がり、9月10日が「球都桐生の日」に制定された。これを記念して今年、桐生市内で開かれるさまざまなイベントを紹介する。   (上原道子)

8月26日に関東で初開催される東京六大学野球オールスターゲーム(https://kiryu910.jp/big6asg/)の会場「小倉クラッチ・スタジアム」。午後3時からのオープニングセレモニー後、同3時半試合開始。一般1500(当日1700)円、高校生以下500(同600)円、未就学児無料

戦前から現在まで野球が盛ん
昭和の旧制桐生中学(現桐生高)は戦前から甲子園常連校で、準優勝2回、4強2回を達成した。これに貢献したのが、稲川東一郎監督(1905~67年)。緻密なデータを取り入れ指導に生かし「知将」と称された。

1945年11月に東西対抗戦(現在のプロ野球オールスター戦)第2戦を新川球場で開催。翌日の対東軍(オールスター)戦で勝利した全桐生メンバー
故・稲川東一郎氏

また、桐生高に加え桐生工、樹徳、桐生第一、桐生市商の市内5校が夏の甲子園に出場。特に99年夏には桐生第一が県勢初の全国優勝を成し遂げるなど、輝かしい成績を残していることも「球都」と呼ばれる理由の一つ。昨夏の高校野球県大会では樹徳が優勝するなど、「球都桐生」は、なお健在だ。

昨夏、群馬大会で優勝した樹徳高校

このほか、同市(桐生高含む)出身指導者も多く活躍。川島勝司氏、前野和博氏、山田嵓氏、河原井正雄氏、渡辺久信氏らは全国都市対抗、全日本還暦、全日本大学、プロ野球日本シリーズなど全国レベルの大会でチームを優勝に導いている。

さらに、現在の新川公園(稲荷町)にあった新川球場は戦後初のプロ野球東西対抗第2戦が行われた場所。昨年には、「日本野球聖地・名所150選」にも選ばれた。

こうした市民の財産である「野球」を活用し地域を盛り上げていこうという機運が高まり昨年度、市は「球都桐生プロジェクト推進準備委員会」を設置。昨夏には語呂合わせから9月10日を「球都桐生の日」に制定することを発表した。今年度、市や民間団体なども含めた「球都桐生プロジェクト推進協議会」(会長・荒木恵司桐生市長)が立ち上がり、野球関連事業による地域活性化策の検討を進めている。

8月、関東で初開催
東京六大学オールスター

球都桐生の日を記念した最初のイベントは来月26日に小倉クラッチ・スタジアムで開かれる、東京六大学野球オールスターゲーム。東京六大学野球連盟(東京、立教、早稲田、慶応義塾、明治、法政)から選抜された現役選手の混合によるエキシビションマッチ。同協議会が誘致した。

同ゲームには今月行われた日米大学野球選手権で優勝した「侍ジャパン」メンバーを含むハイレベルな選手が集結。明大、早大、立大で編成する「赤城ウィンズ」と、法大、慶大、東大による「渡良瀬ストリームズ」の2チーム(各25人)に分かれて戦う。

群馬ゆかりの選手は健大高崎高出身の戸丸秦吾捕手(立大3年)と小澤周平内野手(早大2年)、明和中、館林ボーイズ出身の篠木健太郎投手(千葉・木更津総合高—法大3年)、前橋育英高出身の外丸東眞投手(慶大2年)、前橋高出身の斎藤快太内野手(同3年)の5人。

試合に加え、応援団やチアリーディング、吹奏楽も見どころの一つだ。当日は各大学の応援合戦や、市内の高校吹奏楽部との競演も予定されている。オープニングセレモニーでは、荒木市長をはじめ各大学の監督らによる投球(ファーストピッチ)や、桐生第一高の中野みやびさんによる国歌の独唱も行われる。試合直前の始球式は78年の春・夏に桐生高エースとして活躍した木暮洋さんが務める。現在、前売り券を販売中。26日は当日券も販売する。詳細は桐生ガススポーツセンター( 0277-52-2362 )へ。

さらに、会場では、市内10店舗が地場産品や食を販売する「球都桐生 いいもん・ウマいもんフェス」を同時開催。当日出店する手ぬぐい製造販売「平賢」の小山哲平専務(39)は、「野球をきっかけに桐生に興味を持ってもらえたら嬉しい」と期待する。当日はオールスター限定デザインの手ぬぐいを販売するという。

平賢の桐生手ぬぐい。オールスターゲームの会場で8月26日に同時開催される「いいもん・ウマいもんフェス」に出店予定

シンポジウム、野球フェス
盛りだくさんな16日間

オールスターを皮切りに8月26~9月10日の16日間は「球都桐生WEEK」と題し、野球をテーマにした様々な企画が実施される。有鄰館(本町2丁目)では球都桐生の歴史を物語る貴重な資料を展示。一般市民から、展示用の野球関連グッズを募集中。このほか、監督論やスポーツマンシップなど野球にまつわる情報について学べる全6回のセミナー、子どもも大人も楽しめる新川公園野球フェス、WBC優勝監督の栗山英樹さんを迎えて開くシンポジウムなど盛りだくさん。

有鄰館での展示では稲川氏直筆の野球ノートやスコアブックなどが展示される予定
有鄰館で展示予定の桐生中学のユニフォーム
9月6日、シンポジウム(美喜仁桐生文化会館)に登壇する栗山英樹氏。観覧の詳細はHPにて発表(https://kiryu910.jp/910week

同プロジェクト推進協議会事務局は、「スポーツの持つ『つなぐ・ひろげる』といった力をフル活用し、市の活性化や魅力発信などを目指していきます。野球がまちなかにあふれるイベントです。皆様のご来場をお待ちしております」と話す。同事務局( 0277-32-4032 )へ。

掲載内容のコピーはできません。