群馬で聴ける世界のオペラ 2023-24

16世紀バロック時代にイタリアで生まれ、音楽や美術を集結させて作り上げられる総合芸術「オペラ」。本場から来演する本格的なものやガラ・コンサート、ソロコンサートなど、県内でも鑑賞できる様々な公演が、来年までそろっている。聴きどころを専門家に教えてもらいながら、群馬での公演について紹介する。(谷 桂)

沼尻竜典マエストロ渾身のオペラ
実力派が歌うクリスマスの豪華プログラム
高崎芸術劇場
オペラ・ガラ・コンサート

クリスマスシーズンの12月21日午後6時半から、高崎芸術劇場で、GTシンフォニック・コンサートvol.5「オペラ・ガラ・コンサート」が行われる。指揮は、渾身のオペラを作り上げる沼尻竜典マエストロ。歌手は、艶やかな声のテノール宮里直樹など7人の実力派ソリスト。プロ合唱団と群大附属小児童合唱団が加わり、数々の有名曲を演奏する豪華で飽きないプログラム。

ガラ・コンサートとは、特別の演奏会という意味。見せ場であるオペラ・アリアなどを次々にソリストと合唱が歌う。今回は、イタリアの大作曲家プッチーニとオペラ王ヴェルディの有名曲を取り上げる。

前半はプッチーニの代表作。オペラ「ラ・ボエーム」では、「冷たい手を」「私の名はミミ」など有名アリアが出てくる第1幕後半から、クリスマスのパリを舞台にした第2幕までを出演者全員が歌う。詩人ロドルフォを宮里、恋人のお針子ミミを砂川涼子(ソプラノ)。もう一組の恋人は、ムゼッタの砂田愛梨(ソプラノ)とマルチェッロの髙田智宏(バリトン)。その他、活躍中の池内響(バリトン)や清水良一(バリトン)も登場。

後半は、ヴェルディの作品。オペラ「椿姫」から「乾杯の歌」などを砂田と髙田が披露。オペラ「ドン・カルロ」からは、バスの妻屋秀和が「ひとり寂しく眠ろう」を歌い上げる。その他、合唱の大迫力やトランペットの響きを堪能できるオペラ「アイーダ」の「凱旋行進曲」も聴きどころ。沼尻マエストロのタクトにより、群馬交響楽団と出演者のあふれる響きで高崎芸術劇場はオペラハウスと化す一夜に。

同楽団担当者の深堀愛香さんは、今回はオペラの『いいとこ取り』。本格的な豪華プログラムです。一度にこれほどの演奏を聴けることはもうないのでは」と呼び掛ける。
※全席指定。S席5000円、A席4000円、B席3000円など。同劇場チケットセンター( 027-321-3900 )

指揮者の沼尻竜典
ソプラノ 砂川涼子
©Yoshinobu Fukaya
ソプラノ 砂田愛梨
バリトン 宮里直樹
©深谷義宣 auraY2
バリトン 髙田智宏
バス 妻屋秀和
©Takafumi Ueno
バリトン 池内響
©T.Tairadate
バリトン 清水良一
©篠原栄治

■見どころ聴きどころ
オペラの魅力あふれる圧巻のステージをクリスマスに
指揮者 沼尻竜典さん
(ぬまじり・りゅうすけ)リューベック歌劇場音楽総監督など国内外で数々のポストを歴任。

今一番多忙な歌手たちが、第九シーズンの合間を縫って高崎芸術劇場に大集合! 児童合唱とプロ合唱団も交えた圧巻のステージをお楽しみください。このために欧州から一時帰国する歌手も数名いる贅沢な企画。「いつかこの地でオペラの全曲公演を」と夢見る私にとっては、その前哨戦となります。1年頑張った自分へのプレゼントにもいかがでしょうか?

世界が注目する女性指揮者オクサーナ・リーニフの名門歌劇場
数々の悲劇に目が離せない
高崎芸術劇場
ボローニャ歌劇場の「トスカ」

11月7日に高崎芸術劇場大劇場で開催するイタリアの名門ボローニャ歌劇場によるプッチーニ作曲のオペラ「トスカ」。ウクライナ出身、世界が注目する女性音楽監督であり指揮者のオクサーナ・リーニフ率いるトップソリストや合唱団、管弦楽が高崎に勢ぞろいする。

オペラ「トスカ」は、激動する1800年代のローマが舞台。テノールのフランチェスコ・ピオ・ガラッソ演じる画家のカヴァラドッシが脱獄犯をかくまい、それが知れてしまい、マッシモ・カヴァレッティ(バリトン)演ずる悪役の警視総監スカルピアに捕らえられ、死刑を宣告される。主役マリア・ホセ・シーリ(ソプラノ)演ずる歌姫のトスカが恋人のカヴァラドッシを助けようとするが、そこには悲劇が待ち受けている。

全3幕の歌劇は、盛りだくさん。トスカが警視総監から関係を求められ、絶望の思いをアリア「歌に生き、愛に生き」に込める。また、カヴァラドッシは処刑される前の悲しい気持ちをアリア「星は光りぬ」で歌い上げるなど、魅力ある音楽がちりばめられ、迫力満点。

ボローニャ歌劇場は、4年ぶり7度目の来日で、高崎芸術劇場は初。午後6時半から。

※イタリア語上演、日本語字幕付き。全席指定。SS席24000円、 S席19000円、A席15000円、B席11000円など。同劇場チケットセンター( 027-321-3900 )。

指揮者/オクサーナ・リーニフ
©Oleh Pavliuchenkov
トスカ/マリア・ホセ・シーリ
©MicheleMonasta
カヴァラドッシ/フランチェスコ・ピオ・ガラッソ
©Lourdes Balduque
スカルピア/
マッシモ・カヴァレッティ

■見どころ聴きどころ
最高の音楽ですべての感情が引き出される
オペラ評論家 香原斗志さん
(かはら・とし)オペラの批評や論考を多数寄稿。著書多数。海外での鑑賞経験も豊富

《トスカ》の2時間は濃い。陰謀、拷問、殺人、処刑、自殺……。激しく転変する状況をプッチーニは緊張感あふれる音楽で埋め、各人の思いは時に美しすぎる音楽で彩った。世界注目の音楽監督リーニフの指揮はそれを闊達(かったつ)に表し、世界屈指のトスカ歌いシーリらが最高峰の歌唱を披露する。この水準のオペラには滅多に出逢えない。

前橋市出身の今井さん 気軽にバリトンの魅力を
美喜仁桐生文化会館
今井俊輔「バリトン・コンサート2024」

今井俊輔(いまい・しゅんすけ) 
前橋市出身のオペラ歌手

前橋市出身のオペラ歌手、今井俊輔「バリトン・コンサート2024」が、来年2月4日に美喜仁桐生文化会館で行われる。オペラ「椿姫」より、「プロヴァンスの海と陸」などを歌う。

今井さんは、イタリアで研鑽を積み、2013年にライプツィヒとの提携公演「マクベス」のマクベス役でデビュー。豊かな声量と明るい響きや表現力でファンが多く、オペラのソリストとして活躍する。同館の担当者は、「歌だけでなく、トークが親しみやすくて、毎年大人気。チケットは残りわずかです」と呼び掛ける。午後2時開演。

※全席指定一般1500円、高校生以下500円。チケット専用電話( 0277-22-9999 )。

オペラ協会のソリストや合唱団 全員で作る群馬のオペラ
昌賢学園まえばしホール
「道化師」 「ジャンニ・スキッキ」

上演のための熱心な練習
同会会長でテノールの角田和弘

群馬オペラ協会による公演が、11月19日、昌賢学園まえばしホールで開かれる。レオンカヴァッロ作曲のオペラ「道化師」とプッチーニ作曲のオペラ「ジャンニ・スキッキ」を演ずる。「道化師」は、道化の自分が分からなくなってしまった男の哀れさを主人公カニオを演じる同会会長でテノールの角田和弘が歌い上げるなど、有名なアリアが続出。ソリストの他、同協会合唱団と児童合唱団が出演。アリア「私のお父さん」が有名なオペラ「ジャンニ・スキッキ」も上演する。角田総監督は、「オペラの醍醐味は、一人ではなく、全員の力で作り上げるところです。ぜひ、ご来場ください」と話す。午後2時開演。

※イタリア語上演、日本語字幕付き。18歳以下400人を無料招待あり(角田さんへ。未就学児除く)。全席指定S席6000円、A席5000円。
角田音楽企画( 090-5304-7215 )。

掲載内容のコピーはできません。