電子地域通貨って何だろう?

地域経済が循環 買い物に使える、ポイントが貯まる、給付金にも活用

経済の活性化やキャッシュレス化の推進のために、地域限定で利用できる電子地域通貨。全国でも様々な自治体で導入が進み、群馬県内では、2019年に富岡市が「ふれ愛プリカ」を導入したのを皮切りに、高崎市では「高崎通貨」、太田市の「OTACO」、伊勢崎市の「ISECA」など県内の12市町村が運用中だ。ちょうど1年前に導入した渋川市の「渋Pay」については、「ポイントが貯まる、使える」仕組みを記者が実際に体験したレポートを、今月20日からスタートする前橋市の「めぶくPay」については、特徴や使い方を取材した。   (谷 桂)

※内容は変更になることがあります。詳しくは、各自治体へお問合せください。

記者が実際に使ってみた!
最大20%ポイント還元中 渋川市の電子地域通貨
「渋Pay」

「渋Pay」の加盟店「かんたろう」で、決済している記者㊧と店主の田代さん

渋川市では、22年12月にトラストバンク(東京都渋谷区)が提供する自治体向け地域通貨プラットフォームサービス「chiica(チーカ)」を活用した電子地域通貨「渋Pay」を導入している。他に県内で「chiica」を導入しているのは、桐生市、伊勢崎市、太田市、沼田市、館林市、片品村、みなかみ町、邑楽町がある。

「渋Pay」への登録数は約3万4000人。加盟店(市内限定)は約330店(各12月初め時点)。市内の大手スーパーやドラッグストア、コンビニ、飲食店、理美容店、旅館、観光など加盟店での支払いに使用できる。

市外に住む記者も、○○Payのようなキャッシュレス決済をたまに使っているが、地域通貨を使うのは初めて。この機会に、渋川市の「渋Pay」にトライしてみた。

まず、スマホに「chiica」のアプリをダウンロード。名前や住所、郵便番号などを登録して、クレジットカードチャージ(付与率0・5%)またはセブン銀行チャージ(同1・5%)をする。私は、2000円分をクレカチャージしたら、すぐに0・5%の10ポイントが付いてきた。2010ポイントを持って、さあ、お店にレッツゴー! ※機能や使用できる店などは異なるが、プラスチック製の磁気カードもある。

「へそじぞう」をマークにした「渋Pay」の磁気カードタイプ

市内の加盟店は、アプリ内にある「使えるお店」に入っていて、ここを見ると住所や電話などの基本情報があり、どんなお店なのか分かりやすい。

その中で、今月13日にオープンしたばかりの加盟店「今川焼・たこ焼き かんたろう」(田代昌義代表)に行ってみた。お好み焼き風や粒あん入りの今川焼が名物で、650円を購入。「へそじぞう」のイラストの近くにあるQRにスマホをかざして、金額を入力。画面が変わったらボタンをスライドさせて決済完了。なんと、130ポイント(20%)還元された。現在、渋川市のポイント還元キャンペーン(第2弾)の実施中につき、最大20%ポイントが還元される。上限の10万円を買い物したら、上限で最大2万ポイント還元になるというから物価高の昨今には、うれしい(来年3月15日または、予算上限に達した場合は終了。ポイントには有効期限あり)。市外の人も利用できるので、観光などで訪れた際にも使えそうだ。加盟店は決済額の1%を協力金として負担し、その協力金は、市内全小中学校の図書の充実など「将来世代への投資」に活用。同市の担当者は、「日常の買い物に使うことが子どもたちのためになるので、もっと多くの方に知ってほしい」と呼び掛ける。

前橋スズランから渋川に移転オープンした今川焼の店「かんたろう」では、ホカホカの小倉あん(150円)やお好み焼き風(180円)が人気

 

お得感ある「渋Pay」を使ってみたら、渋川市が何だか身近になった。問い合わせは、同市DX行政管理課( 0279-25-8414 )。

もうすぐスタート前橋市の
「めぶくPay」

前橋中心商店街にあるおもちゃと人形の専門店「黒田人形店」では、「めぶくPay」スタートを前に販売練習した

前橋市の電子地域通貨「めぶくPay」が、いよいよ12月20日からスタートする。市などが出資する民間企業「めぶくグラウンド」と協力して、独自に開発したシステムを使用する。

スマホからダウンロードした「めぶくアプリ」から登録し、マイナンバーカードを使って厳格な本人認証をする「めぶくID」を取得して「めぶくPay」にアクセス。15歳以上であれば、市内はもちろん市外の人も登録可能。売り買いで集まったビッグデータを地元に活かし、行政サービスの向上、ビジネスに生かす「地域のお金の循環」を促すと同市では説明する。加盟店も順調に登録が増えているが「さらに募集中」という。

スタートと同時に始まるキャンペーンでは、最大21500円相当のポイントプレゼントを実施。まず、登録時に最大1500ポイント、さらに「めぶくPay」登録者の中から抽選で1万人に10000ポイントが当たる市民限定のキャンペーン「まえばし市民プレミアムキャンペーン(~2024年1月17日まで)」がある。加えて、ユーザー全員を対象に、支払額に応じて、ポイント20%を還元するキャンペーン(~1月31日まで)も。こちらは、期間中、支払額の上限5万円、最大10000ポイントまで。抽選を含めて、これらを足し算すると、最大21500ポイントというわけだ。

20%還元キャンペーンが終了した2月1日からは、3%のポイント還元が始まる。その他、出産・子育て応援給付金の受け取りも「めぶくPay」を選択できるようになる。

同市にぎわい商業課の担当者は「前橋市内のにぎわいが創出できると良いですね。市民以外の方も、前橋を訪れた際には、お店でぜひ使ってみてください」と呼び掛ける。利用登録や店舗登録の問い合わせについては、めぶくグラウンドコールセンター( 050-8890-9406 )。

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