10テーマで繋ぐコレクション見て楽しんで

展覧会「10のテーマでアートをつなぐ」

県立館林美術館は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、5月22日現在、休館を延長しております。ここでは、4月18日にオープンする予定だった展覧会「10のテーマでアートをつなぐ」について、今後の開館を待ちながら、ご紹介します。

この展覧会は、近年新たに収蔵された作品や寄託された作品を中心に、当館の多彩なコレクションを様々なテーマのつながりから見ていくものです。テーマは10個。その中から、いくつかご紹介しましょう。

例えば、「銅版画による童話世界」では、デイヴィッド・ホックニー(1937年~)と南桂子(1911~2004年)を向かい合わせています。人生では接点のなかった2人ですが、両者とも、銅版画技法を探究し、繊細な線と余白を活かして童話の世界を絵にした点でつながりが見出せます。

あるいは、人間の姿の表象を通して、生きることについて語りかけてくる作品。日野之彦(1976年~)は、正気を失った人間像を通して、肉体と精神の接点を探り、ロッカクアヤコ(1982年~)は、指を使った即興的な描き方で、女の子の持つ生きるエネルギーを描き出します。

さらに、技法やモチーフだけでなく、作品が暗示する精神性や、問題提起している観念などにも目を向け、時代や国をまたがって、作品をつなげています。

最後の第10章では、外光の入る展示室1を舞台に、勅使河原蒼風(1900~79年)とスタン・アンダソン(1947~2015年)が出会います。自然の懐深くに入り、造形に結びつけた2人の作品世界を、美術館開館の暁に、ぜひ広々とした空間の中で味わって頂ければと思っています。

出品作品は全部で約130点。ここではほんの一部をご紹介しましたが、展示の模様はフェイスブックにあげている動画でもご覧頂けます。
※美術館の今後の開館予定については、電話またはホームページなどでご確認下さい。

日野之彦「曇り空」(2018年)
ロッカクアヤコ「Untitled」(2017年)
勅使川原蒼風、スタン・アンダソンの作品世界が広がる展示風景

 

館林美術館 学芸員
松下 和美さん

1998年より群馬県立近代美術館学芸員、のち県立館林美術館学芸員。主な担当展覧会に、「鹿島茂コレクション フランス絵本の世界」(2017年)、「エキゾティック×モダン アール・デコと異郷への眼差し」(2019年)、「ピカソ展-ゲルニカ[タピスリ]をめぐって」(2019年)など

■県立館林美術館( 館林市日向町2003)■0276・72・8188■現在、休館中。6月上旬頃に再開予定。会期は再開~6月28日を予定※最新の開館情報はHP に掲載■月曜休館■一般620円、大高生310円、中学生以下無料

掲載内容のコピーはできません。