「目をひく作品」4つの切り口で!

「catch the eyes-目から心へ-」

あなたは美術作品を一目見て、「目がくぎづけ」になったことがありますか? 美術館で働いているとさぞや感動的でスペシャルな体験をしていそう、という期待を裏切るようですが、私はありません。それでも、時に他よりちょっと時間をかけて見てしまう作品に出会うことはあります。それはきっと誰にでも起こり得ることでしょう。そして、その作品や理由は人によって違うはず。そんな発想からこの展覧会を開催することになりました。

この展覧会は群馬県立近代美術館のコレクションを中心とした作品によって、「人の目をひく」と思われる作品を、4つの切り口でご覧いただこうとするものです。

カラフルな作品が並ぶ展示室

美術作品をぱっと見た時に大きな威力を発揮するのが色。そこで1章は「色のちから」とし、鮮やかな色や、色と色の組み合わせが印象的な作品を展示しています。李禹煥《風景Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ 》の前では、あなたの視界とあなた自身もその色に染まる体験をしてもらえることでしょう。

2章目は一転して「怖さ、不安」がテーマです。怖いのに目が離せない、心がざわざわするのになぜか引きつけられることはありませんか。なぜそう感じるのか、ぜひ自分の心と向き合いながら作品を見てください。

高さ2メートル超の抽象彫刻や空想上の建築絵画の数々

本展で一番ボリュームのあるコーナーが3章の「ランドマーク―建築のイメージ」です。例えば寺や城は、それ自体が芸術で人の視線を捉える外観をしています。ここではそれらを描いた絵や建築の一部や形をモチーフにした作品、さらには空想上の建築を描いた作品を紹介しています。高さ2メートルを超える鉄の抽象彫刻、保田春彦の《立ちあがる幕舎》をはじめ、野又穫の精緻で美しい空想上の建築絵画がまとめて見られる点もみどころです。

最後の4章「大きな絵、小さな世界」では作品の大小に焦点をあてています。1枚のキャンバスによる当館最大級の絵画2点と、10㎝四方以内の彫刻や版画を一緒に展示しました。大きな作品と小さな作品に向きあった時の気持ちの違いを感じてください。

さあ、あなたの目はどの作品にとまるでしょうか?

 

県立近代美術館学芸員
定松 晶子さん

筑波大学博士課程芸術学研究科中退。1993年より、学芸員として群馬県立近代美術館と県立館林美術館に勤務。「山口薫ー幻影のカンヴァス」(2008年)「Flora!花の饗宴 ルドゥーテの美花選と植物図鑑の世界-展」(2016年)など担当

■群馬県立近代美術館(高崎市綿貫町992・1)■027・346・5560■8月23日まで■午前9時半~午後5時■月曜休館(ただし8月10日は開館)■一般830円、大高生410円、中学生以下無料

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