化石(古生物)の大型標本 見比べて

企画展「ポケモン化石博物館」

7月15日にオープンした企画展「ポケモン化石博物館」。早いもので残る会期が1カ月弱となりました。まだご覧になっていない方は、お見逃し無いよう是非、お越しください。

さて、この企画展は国立科学博物館による巡回展で、2021年7月を皮切りに全国各地の博物館などで開催されていますが、当館では会期を長めにしてもらいました。そこで、9月23日から始まった後半展示では化石(古生物)について複数の大型標本を展示に新たに加えました。ここでは、その中から2つの化石をご紹介します。

T.rexの亜成体「ジェーン」の全身骨格(パレオ・サイエンス所蔵)

一つ目は、恐竜の代表種ともいうべきティランノサウルス(T.rex)の亜成体である「ジェーン」の全身骨格(レプリカ)です。近年発表された論文によると、T.rexは22歳程度で成熟に達したと考えられています。この「ジェーン」は骨組織の研究で13歳だと考えられていて、その頭骨を手前に展示されている25歳の成熟した個体の頭骨と比べると、「ジェーン」の頭骨では頭骨後部の横への発達が小さく、ほっそりとしています。また、全身のプロポーションも成熟したT.rexと比べると、体の長さに対して足が長くなっています。全身骨格ではないのですが、常設展示には成熟したT.rexの生きていた姿を復元したロボットがありますので、見比べてみるとプロポーションの違いがイメージしやすいでしょう。

コスモケラトプスの頭骨

二つ目は、角竜類の一種であるコスモケラトプスの頭骨(レプリカ)。角竜といえば、T.rexと同じ時代にいたトリケラトプスが有名ですが、コスモケラトプスは同じ北アメリカではあるもののトリケラトプスより一千万年ほど古い7600万年前にいた種類です。

コスモケラトプスの特徴の一つは目の上にある角で、ほぼ横(外側)を向いています。しかし、この種類最大の特徴は頭骨の後ろにあるフリルにあります。フリルの上部には骨製の小突起が前を向いてズラリと並んでいます。会期中は、常設展示に別の3種類の角竜類の頭骨模型も展示していますので、このコスモケラトプスとあわせ、角竜類の角のバリエーションをぜひご覧ください。

県立自然史博物館 学芸員
髙桒 祐司 さん

1994年から開館準備に携わり、開館(1996年)後は古生物担当学芸員。最近の主な担当企画展は「謎の巨大恐竜スピノサウルス」(2011年)、「超肉食恐竜T.rex」(2016年)、「化石動物園」(2018年)

県立自然史博物館
■富岡市上黒岩1674・1 ■0274-60-1200 ■12月3日まで
■午前9時半~午後5時(入館は午後4時半まで)■月曜休館
■一般 1000円、大高生 500円、中学生以下無料

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