水野 宏太 ヘッドコーチ


勝利を手繰り寄せられる試合巧者のチームにする

群馬クレインサンダーズは、昨季、チャンピオンシップ(CS)進出を目標に据えていた。シーズン終盤まで東地区3位を維持し、東、中、西地区の各3位以下の全チームを合わせた上位2チームがCSに進出できるワイルドカードを狙ったものの、西地区の名古屋ダイヤモンドドルフィンズと広島ドラゴンフライズがワイルドカードを獲得。ワイルドカード2位以内に入るには約7割の勝率が必要だった。結局サンダーズは勝率4割9分で東地区5位に終わった。水野宏太HCが、もしかしたらCS進出ができたかもしれないターニングポイントを語った。(星野志保)

 

オープンハウスアリーナ太田のこけら落としのゲームとなった宇都宮戦後の記者会見で、勝利の喜びを語る水野HC (2023年4月15日)

「東地区で2位争いをしていれば、3位でもCSに行けるのかなと考えていましたが、西地区のチームの勝率が思った以上に伸びて、東地区3位でもワイルドカード2位に入るのは難しい状況になりました」と水野HCが語るほど、予想以上のハイレベルな戦いになった昨季。

CS進出は逃したものの、B1昇格2年目のサンダーズが、2021‐22シーズンのBリーグ王者・宇都宮ブレックスとシーズン最後まで東地区3位争いをしたことは大いに評価できる。だが、水野HCは満足していない。

昨季、ターニングポイントとなった試合が3つあった。1つ目は、昨年11月30日の宇都宮ブレックス戦。序盤から自分たちのやりたいことができていた中で、最後に追いつかれ延長戦の末に敗れた試合だった。

2つ目は、12月3、4日の茨城ロボッツ戦。1試合目は接戦の末に勝利したものの、2日目は接戦を落とした。「この茨城戦で2連勝できていれば間違いなくCS進出に弾みをつけられた」と振り返った。

3つ目は、12月30、31日と1月4日(天皇杯)の横浜ビー・コルセアーズとの3連戦。1試合目は良い流れで試合に入ったものの、徐々に我慢しきれなくなり最終的に13点差で勝利を持っていかれた。4日の試合でも、18点あったリードをひっくり返され、逆転負けをした。

「勝てる試合で勝利を手繰り寄せられず、試合中にコントロールすべきところをできなくて負けてしまう。この辺から試合巧者にならないと勝ち切れない試合が出てきた」

昨季の課題を踏まえ、クラブは大型補強を行った。リーグを代表する3ポイントシューターの辻直人、昨季、琉球ゴールデンキングスの優勝の立役者となったコ・フリッピン、若手の成長株である木村圭吾を獲得。この他、外国籍選手一人の発表も待たれるところ。

水野体制2年目は、本気でCS進出を狙うという強い意志が大型補強から感じられる。サンダーズの開幕戦は10月7日。宇都宮との対戦で、日環アリーナ栃木メインアリーナで戦う。

みずの・こうた

1982年8月2日生まれ、東京都出身。都立駒場高校からウエストバージニア大学に進学し、コーチの勉強を始める。帰国後は、ACとしてリンク栃木ブレックス、男子日本代表、レバンガ北海道で指導の経験を積み、2013-14シーズン途中で北海道のHCに就任。2018年からさらにバスケを深く知るためA東京のACとなり、2022-23シーズンからHCとしてサンダーズを率いている。

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