コー・フリッピン

彼を起点にした攻撃は、今後のチームの強みになる

今年5月のBリーグ2022―23シーズンチャンピオンシップ(CS)ファイナル第2戦で、3本の3ポイントシュートを含む21得点、8アシスト、フリースローを10本中10本決める活躍で、琉球ゴールデンキングスをB1リーグ初優勝に導き、日本生命ファイナル賞を受賞したコー・フリッピンが今季、サンダーズに加入した。本気でCS進出を目指すチームの強力な武器となる。 (星野志保)
スティールからシュートまで持ち込むフリッピンのプレーは圧巻(2023年10月28日茨城戦、オープンハウスアリーナ太田)写真提供・群馬クレインサンダーズ

フリッピンの獲得について吉田真太郎GMは、「私と水野(宏太)ヘッドコーチ(HC)とで本気で口説いた選手。(千葉ジェッツと琉球で)2回チャンピオンを経験し、大舞台であればあるほど活躍するメンタリティーを持っている」と絶賛した。

フリッピンが優勝チームからサンダーズへ移籍した理由は「新しいチャレンジができると思った」から。これまで千葉J、琉球とB1を代表する強豪チームでプレーしたこともあり「サンダーズはB1に上がったばかりで、今、チームを作り上げているところ。自分が新しいエナジー(力)を持ち込み、チームを強くしたい」と新たな挑戦に臨む。

フリッピンのプレーの特長は、相手との距離を詰めた粘り強いディフェンス、スティールからダンクに持ち込むオフェンス(攻撃)力、ボールハンドリング能力、今季のCSでも見せたシュート力である。

今季は開幕戦からディフェンス能力の高さを見せてくれたが、オフェンスでは苦戦。開幕の宇都宮との第2戦後に「コートにいる選手によってローテーションが違ったり、違うプレーをしたりすることがあるので、一人ひとりの選手をもっと知って、誰と一緒でもチームのためになるプレーができるようになりたい」と語っていた。

もともと能力の高い選手。徐々にチームにもフィットしていき、10月28日の茨城ロボッツ戦では、スティールからダンクに持ち込むフリッピンらしい攻撃力を見せ、今季最多の11得点を挙げ勝利に貢献した。

試合後、これまで苦戦した理由について「ここではいろんなポジションをやらなければいけない。状況によって自分の役割も変わってくるので、そこにフィットするのが一番難しかった」と話す。

茨城戦でのフリッピンの活躍に水野HCは「チーム内で彼をどう生かすかという共通理解ができ始めている。彼は(制限区域の)ペイントエリアに侵入する能力がすごく高い選手。自分でフィニッシュに行ったり、中(ペイント内)から外に展開したりすることをやり始めてくれているので、ボールが動くようになっている。彼を起点にした攻撃は今後チームの強みになっていく」と期待を寄せる。

サンダーズは今季9試合終了時点で、4勝5敗と苦戦しているが、フリッピンをはじめ選手一人ひとりが個々の強みを発揮できれば、目標のCS進出は叶うだろう。

コー・フリッピン

1996年5月20日生まれ、アメリカ・カリフォルニア州出身、リーグ登録は日本国籍。ノース・トーランス高校からカリフォルニア大学リバーサイド校、ドエイン大学を経て、2019年に千葉Jに加入。その年、日本代表として第41回ウィリアム・ジョーンズカップに出場した。21年に母の故郷のチームである琉球に移籍。今季からサンダーズでプレー。大舞台に強く、千葉Jが優勝した時のCSでフィールドゴールの成功率が61.3%、昨季の琉球でのCSで同43.2%をマークしている。188㎝・75㎏、ポジションはPG/SG、背番号1。

掲載内容のコピーはできません。