本&CD&ギャラリーコーナー貸し切り制に

ご用の方はノックして下さい!

書店「フリッツ・アートセンター」(前橋)

「ご用の方はノックして下さい!」 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、臨時休館中の書店「フリッツ・アートセンター」(前橋)では、先月中旬から予約貸し切りサービスを始めた。県内でも珍しい取り組みには、「こんな時だからこそ、『書店の灯り』をともし続けなければいけない」という店主の熱い思いが込められている。    (中島美江子)

貸し切りのギャラリーでゆっくり過ごす来店者

「大好きな本屋さんをまるごと独り占めできるなんて夢のよう。密にならず安心安全なので、今度は子どもと孫を誘って一緒に来たいと思います」 同店のファンという田子智代さん(59=前橋在住)は今月8日、貸し切り制になってから初めて来店。約1時間滞在、じっくり吟味した絵本など2冊を購入し店を後にした。

書籍や絵本、古書、CDなど約1万点が置かれた店内

1985年、前橋の敷島公園に誕生したフリッツ・アートセンターは、同店の小見純一代表(61)やスタッフが一つひとつ丁寧に、大切にセレクトした絵本や古書、CDなど約1万点を扱う書店だ。書籍やCDの販売に加え、ギャラリーも運営。本や音楽に限らずアート好きにも人気スポットになっている。

同店近くの福祉施設に勤務する田島麻子さん(40=伊勢崎在住)もその一人だ。今月上旬、「宮沢賢治絵本原画展」を鑑賞するため来店。ギャラリー空間で1時間程、賢治の絵本と原画の世界を楽しんだ。田島さんは「展覧会があるたびに訪れています。貸し切り制は、自分のペースで心ゆくまで見られるのが良いですね。素敵な空間で、心も身もリフレッシュできました」と話す。

「今ほど本や音楽、アートが必要な時はありません」と話す小見代表

 

先月中旬にスタートした貸し切りサービスは1日5~7組が利用しており、リピーター率も高いという。小見代表は、「先行きが見えず混迷が深まる中、本や音楽、アートに触れたいと思う人が増えているのではないでしょうか。様々な人から求められている場所を閉じてはいけない。そんな本屋としての矜持を今、強く感じています」と語る。

同サービスは来店者とスタッフの健康と安全を守るため、店内の換気と消毒を行った上で実施。入店は手消毒とマスク着用の上、1回1グループ(1~5人まで)で1時間以内となっている。原則、電話かメールでの予約が必要だが、小見代表は「館内や庭にスタッフがいますので直接、『声かけ』してもらえればお店の灯りをつけますよ。ただし、先客がいらっしゃる時は、少々お待ち下さいませ」とほほ笑む。

予約貸し切りサービスは暫く実施。開館午前11~午後6時。火曜と第1、3月曜は休館。同センター(027・235・8989)。

掲載内容のコピーはできません。