敷島パークマネジメントJV [津布工ゆう さん](Vol.34)

笹川裕昭のスポーツコラム

「芝生」でザスパを、群馬のアスリートを支える

早くも来シーズンのJリーグ開幕に向け芝生の準備は始まっているのだ

今季躍進したサッカーJ2ザスパクサツ群馬を「足元」で支えたのが、ホームスタジアムの正田醤油スタジアム群馬で芝生管理をする津布工(つぶく)ゆうさんをはじめとした敷島パークマネジメントJVの品質管理課の皆さんだ。津布工さんたちは、正田スタの芝生をはじめ、公園内にある競技用の芝生を一括管理している。その中でリーダーを務める津布工さんは館林市出身。J1クラブが使う競技場や練習場の芝生管理を経て、2015年に敷島公園へ着任。当時いた先輩とともに、さらに良いものにしようと取り組み、現在の質の高い芝生を提供するに至った。

ザスパの選手や関係者からも「芝が良いのでトラップミスの心配がない。いいプレーができる」と好評で、ザスパのレベルアップに貢献している。今季、ザスパは、ホームゲームの8割以上で勝ち点(勝ち、引き分け)を掴んでいる。正田スタの芝生が、ザスパの好成績を支えたことを裏付けているだろう。

津布工さんにとって、そんなザスパの活躍は「励みにもなるが、プレッシャーにもなる」と言う。それは、自分たちが良いと思って準備しても「芝の状態が選手たちに合わないかもしれないし、ケガをしてしまったらどうしよう」と不安もよぎるのだという。試合前日はなかなか寝付けず「今年はいつも以上に、芝生がボコボコになってしまう悪夢を見ました」と笑いながら教えてくれた。

芝生の管理は、競技場の規格や使用頻度、土地の気候特性によって大きく異なる。正田スタで特に気を遣うのが、湿度だ。特に夏場は多湿で、急な雷雨も多く、水を与える量を細かく管理しないと、すぐに芝生が病気にかかり、ダメになってしまうという。日中だけでなく、夜間の気象データもチェックしながらに作業している。

また、利用者とのコミュニケーションも、良い芝生管理には欠かせない。正田スタの芝を使うのはザスパだけではない。陸上競技をはじめ、学校関係者など各団体とコミュニケーションを取り、要望に応える。時には施設使用中に声を掛けることで信頼関係を作り、芝生の生育や補修のために必要なスケジュールを組んで、「利用する全ての皆さんに気持ちよく使ってもらいたい」と心掛けているという。さらに、全国各地の競技場にいるマネージメントの仲間と情報交換を行い、芝生管理の技術を磨く。昨今の気候変動にも対応しながら、芝生と向き合っていかなければいけない。全国同じではないし、芝生管理に終わりはないのだ。

津布工さんたちがいることは、ザスパをはじめ、群馬のスポーツやアスリートにとって大きなホームアドバンテージだ。来シーズンも、力強く支えてくれるだろう。

笹川裕昭
Sasagawa hiroaki

1978年3月28日生まれ、埼玉県さいたま市出身、大東文化大卒。ラジオ局エフエム群馬で、アナウンサーとして、スポーツ実況や朝夕のワイド番組に出演。現在は、株式会社フットメディアに所属し、スポーツ実況を中心に県内外で活動。個人サイト「SASAnote」(https://sasanote.net/)を運営し、県内スポーツの情報発信も行う
Twitter:@hiro3sa
Instagram: hiro3sa_insta

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