節目 [今日11日は中学生の息子の卒業式…]

今日11日は中学生の息子の卒業式。あの突然の休校は1年の3学期だった。きっとすぐに…と思っていた日常は、戻らぬまま3度目の春を迎えた。たくさんのやり残しを抱えた子どもたちを、もう次の場所へと送り出さねばならないのか。「卒業」の言葉がどこか上滑りするような、そんな人生の節目の日を今日迎える。

中学から来たお知らせには、「出席は保護者1名」と記載があった。娘の小学校卒業式に加え、4月の中学校入学式にも同様の記載がある。家族と相談をし、すべて母親の私が行くことになったが、参加を楽しみにしていた夫はとてもがっかりしていた。

子どもにとって行事は成長に必要な節目であり、親にとってもそれを目にできる貴重な機会。この2年、コロナで学校行事が次々と中止になり、様々な節目を失ったことが、残念でならない。

密を許されず、マスク顔しか知らぬまま別れる同級生。5年後、〝成人祝〟の節目で再会する頃には、「しゃべってはいけない給食」「歌ってはいけない卒業式」がすべて昔話になっているといい。そして、世界で日常が、人びとの暮らしが、乱暴に奪われてゆくのを目にし、旅立つ子どもたちの未来が、ただ平和であるようにと願う。

(塩原亜希子)

 

 

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