まずは挑戦、 次に試行錯誤して価値を生む!( vol.4)

農業カメラマン網野文絵のKnow Life 

 

一つ一つのベゴニアを我が子を見るような眼差しでほほ笑む須藤さん

富岡の須藤園芸、須藤裕政さん(61)は「エラチオールベゴニア」の生産者です。ベゴニアは冬の花といったイメージがありますが、実は一年中栽培・販売されています。須藤家で代々行っていた養蚕、米麦・野菜の栽培から花卉栽培に転換して30年。今では約50種類のベゴニアを丹精込めて作っています。

農家の長男として父の背中を見つつも、「最先端な施設野菜の農業をしたい!」と決意したのは半世紀前。農業の流れが、屋外で作る「露地栽培」から温度や雨除け、防虫が管理できる「温室ハウス栽培」へと変化していた頃でした。須藤さんは農業経営大学校を卒業すると同時に鉄骨ハウスを建設し、「仲間や周りの農家をいつか超えたい!」と、まずはキュウリ栽培に取り組みました。

生産が軌道に載った頃、今度は「品目転換」という大きな決断をしました。同じ農地面積でも収量が多く収益が高い「花」を作ろうと思ったのです。野菜は誰でも食べますが、花は嗜好品で、生活必需品ではありません。須藤さんは花栽培でもとりわけ難しいベゴニアに着手。パキッとした鮮やかな色の花びらは大きくて肉厚。まるでバラのように豪華です。しかし、全国的にも栽培は難しく、群馬の生産者は数人しかいません。「だからこそ価値がある」と感じ、次なる挑戦に踏み切ったのです。

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須藤さんが宝物を見せてくれました。それはベゴニアを育てた年数と同じ30冊の手帳。生産者がいる千葉へ足を運んだときのこと、天候による苦労や失敗、問題点、それらに対する解決方法などが、びっしり書き記されています。様々な経験を踏まえ、自分なりの栽培方法を見出し、徐々に品質が向上していったそうです。目先の生産だけでなく、その先を見据えた独自の技術こそが自分の仕事だと考えていました。

「一鉢一鉢への丁寧な水やりなど、きめ細かい管理がモットー。どんなに手間がかかっても、常に天候と向き合い、お客様の手元で長く楽しめる花づくりを実直に行うことで、信頼と価値が生まれています」と胸を張ります。言葉の端々から感じられるのは、「まずは挑戦、次に試行錯誤して覚える」こと。須藤さんの情熱と愛情で育ったベゴニアが、皆さんの手元に届くことでしょう。

あみのふみえ

前橋市の農業関連会社に勤務する傍ら、週末農業カメラマンとして活動。もともと大のトマト嫌いだったが、農家さんや畑に触れてトマトを食べたいと感じた。新たな視点で野菜をみることの楽しさ・不思議さ追求している。

 

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