安中市学習の森・ふるさと学習館 [簗瀬二子塚古墳出土の三連ガラス玉](Vol.13)

黄金色に輝く 豪族のアクセサリー

簗瀬二子塚古墳出土の三連ガラス玉。長さ約14㎜、直径約7㎜、重量約7g

その地域を治める有力者である豪族が埋葬された古墳。埋葬施設の石室からは、最先端の技術で作られた舶来品や、時の為政者から贈られた宝物など、豪族の権力を示す様々な副葬品が出土します。今回ご紹介する三連ガラス玉は、国指定史跡「簗瀬二子塚古墳」の石室から発見された装身具(アクセサリー)類の一つです。

三連ガラス玉は、二枚のガラスの間に金箔や銀箔を挟み込み作られており、起源は紀元前1千年紀の地中海沿岸地域と考えられています。日本では出土例が少なく、とても貴重な資料です。

簗瀬二子塚のガラス玉を化学分析したところ、ガラスは鉄で黄金色に着色され、ガラス管の間に挟まれた金属箔は「銀」ということがわかりました。銀箔で反射した光が黄金色に着色されたガラスを通ることで金色に見えるつくりをしているわけです。また、韓国武寧王陵から同様の分析結果のものが出土していることから、簗瀬二子塚の三連ガラス玉は大陸からもたらされたもの、と考えることができそうです。

簗瀬二子塚古墳出土の装身具類(勾玉・管玉・水晶製切子玉・耳環など)

この三連ガラス玉と一緒に、簗瀬二子塚から出土した副葬品は歴史博物館「ふるさと学習館」で常設展示しています。黄金に輝く三連ガラス玉と碧緑の勾玉を繋いだネックレスを纏った豪族はどんな人だったのか、想いを馳せてみてはいかがでしょうか?

※簗瀬二子塚古墳とは
6世紀初め(古墳時代後期初頭)前方後円墳で、安中地域を支配した豪族の墓と考えられます。関東地方で最も古い段階の横穴式石室が採用されていて、ヤマト王権の畿内地域との密接な関連があったと推測される重要な古墳でもあります。ふるさと学習館の見学と一緒に、保存整備された現地もあわせてご覧ください。

安中市文化財保護課 学習の森管理係 主幹
千田 茂雄さん

せんだ・しげお/1962年高崎市生まれ。立正大学文学部史学科卒、1988年より安中市教育委員会で埋蔵文化財担当。2018年度より文化財保護課学習の森管理係

きてみて
安中市学習の森・ふるさと学習館/安中市上間仁田951/027-382-7622/午前9時~午後5時(入館は4時半)/休館日:毎週火曜、祝日の翌日、年末年始(12月29日~翌年1月3日)※祝日は開館/入館料:一般100円、高校生以下と障害者無料/3月31日まで3階展示コーナーリニューアル記念展「峠を越えた古代人」を開催中

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