「旧アメリカン・ボード宣教師館(共和館)」 群馬県指定重要文化財 昭和53年10月13日指定(vol.29)

共愛と共に明治・大正・昭和を歩んだ婦人宣教師の館

明治末の共愛女学校と宣教師館群(左から西館・東館・女学校)

この建物は、アメリカン・ボード(米国伝道会社)の宣教師用住宅として、前橋市岩神へ移転後間もない前橋英和女学校(共愛の前身)の隣接地に建てられました。当時は東西二館あり、現・宣教師館は東館にあたります。

設計者は不詳ですが、施工者は曲輪町在住の斉藤善太郎(1858~1916)です。善太郎は裁判所官舎や郵便局、税務所、桃井小学校など、市内の明治期主要洋風建造物を手掛けた名棟梁で、東館は今日残る唯一の作品でもあります。

西館は宣教師夫妻の住宅とボード社の事務局を兼ねた公館として1891(明治24)年に、東館は翌年に独身婦人宣教師の住宅として創建。以後ボードは彼らの協力を得て共愛女学校の支援や清心幼稚園の運営、上毛孤児院への支援、群馬を中心とした宣教活動などを展開しました。1935(昭和10)年、ボードより女学校に譲渡。以後学校では東館を「共和館」と称し学校発展の為に活用しています。前橋大空襲で学校が焼滅した際には校長以下職員がこの共和館に居住しその復興を果たしました。1983(昭和58)年に資料館として開館。2001(平成13)年には、中高の小屋原移転に伴い解体移築、再度資料館として開館しました。

館内には、明治の洋風住宅建造物を知ってもらうため、復元した食堂や五右衛門風呂の浴室、小屋裏のトラス構造、地下室の煉瓦基礎、床下の基礎構造などを展示するほか、県内最古の私立女学校・共愛学園の歴史やアメリカン・ボードの活動等の諸資料を展示・紹介しています。

当建築は木造二階建・切妻の屋根・桟瓦葺(さんかわらぶ)きの建物です。小屋裏のトラス、下見板張り、煉瓦の基礎・暖炉・煙突、上げ下げガラス窓、鎧戸、ベランダなどは洋風建築の特徴を有し、一方、桟瓦、小舞壁、漆喰塗りなど日本的な工法も採用されています。
コロナ禍の今年、宣教師館は建設後130年を迎えました。共愛と共に明治・大正・昭和の時代を歩んできた婦人宣教師の館。今静かにこの桃ノ木川の河畔に、歴史の語り部として静かにたたずんでいます。

共愛学園中学・高等学校宣教師館管理主任
角田 進 さん
つのだ・すすむ/1953年太田市生まれ。1976年共愛学園に奉職、社会科教師として歴史を担当、学園史・記念誌作成等に関わる。2019年任用替により現職

■きてみて■
旧アメリカン・ボード宣教師館前橋市小屋原町1120-5/027-267-1000(共愛学園中学・高等学校)/午前9時~午後4時/土・日・月曜日及び祝日休館/要事前電話予約/観覧料無料

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