食の安心へ、 農業の未来に注目 [群馬県の農業産出額は2404億円(2021年)で、都道府県別で全国12位…]

群馬県の農業産出額は2404億円(2021年)で、都道府県別で全国12位。全国上位の農業県です。10月30日に農林水産省関東農政局が主催した現地調査に参加し、先進的な農業関連現場の一端を見てきました。

農作物や関連商品もたくさん販売されている「道の駅まえばし赤城」は3月に開業したばかりですが、なんと、来場者は300万人に達しました。人気の裏側を、星野圭佑駅長が話してくれました。印象的だったのが、生産者のやる気を引き出す手法です。生産者がもつ「物語」をうまく打ち出し、「思い」を前面に掲げる。まさに「ここにしかない食」「こだわりの農業」を消費者に提示していました。

若いネギ農家の情熱にも触れました。「農業という手段を使って世界中の貧困に困っている人を助ける」。そんな動機から農業の世界に入った「彩園なかや」(前橋市)の中屋智博さん(32)。ネギの安定生産を支援する成育予測プログラムを開発し、起業家を発掘する昨年の群馬イノベーションアワードのファイナリストにも選ばれました。高機能バイオ炭を使った取り組みも。群馬から世界へ、可能性を広げていってほしいと思いました。

農政の基本理念や政策の方向性を示す「食料・農業・農村基本法」の改正論議が進んでいます。制定から約20年が経ち、食料安全保障上のリスク拡大や地球環境の変化など状況が大きく変わりました。食は生活の基盤。農家の努力を生かし、消費者が安心してより良い食を体感できる世の中となるよう、法審議の行方にも注目したいと思います。

様々な農作物などが販売されている道の駅まえばし赤城

(朝日新聞前橋総局長 八木 正則)

 

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