球児の死、悲劇繰り返さぬために [さすがに群馬の冬は、からっ風が強くて寒いなと思えば、12月なのに季節外れの温かい日が急に訪れることもあり…]

さすがに群馬の冬は、からっ風が強くて寒いなと思えば、12月なのに季節外れの暖かい日が急に訪れることもあり、昔のように四季がはっきりした気候ではなくなってきていると実感します。秋の訪れはごく短期間で過ぎ去りました。思えば夏の期間が1年の多くを占めるようになってきたような感覚です。

さて、7日付の朝日新聞群馬版の記者コラムに、1975年の夏、東京農大二高校野球部の1年生が炎天下の練習中に命を落とした悲しい事故について書きました。当時部員だった2人に話を聞くと、症状が出たら体を冷やすことや水分補給、朝食をしっかり食べることの大切さを実感しました。今につながる教訓です。念のためですが、今の農二野球部はきちんと熱中症対策をしており、練習場に熱中症対策の飲料も用意されていました。

前にも書きましたが、私はこの夏まで全国高校野球選手権大会の運営担当でした。今夏は5回終了時の10分間のクーリングタイム導入を担当しました。去年秋から様々な甲子園のデータを分析して考案しました。結果的に、甲子園で熱中症様の症状を訴えた選手は大幅に減りました。来夏に向けた暑さ対策の検討も、すでに始まっています。

世代を代表するような選手でも、足がつる、体がけいれんするなどの症状に苦しむ様子を見てきました。しかも昨今は異常な暑さが続きます。熱中症対策に終わりはありません。「他人事で終わらせてほしくない……」。取材に協力してくれた元部員の懸念も聞きました。48年前の悲劇は繰り返さないため、運営でも報道でも尽力したいと、お墓の前で誓いました。

練習場に用意された熱中症対策の飲料

(朝日新聞前橋総局長 八木 正則)

 

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