教科書とランドセル[9月21日号]

子どもの授業参観に行く度に、教育現場でのデジタル化が進展していると感じる。黒板ではなくスクリーンを使う。家庭科ではボタン付けをする先生の手元を投影したり、数学ではパソコン上でグラフを動かしながら解説。明瞭で効率の良い授業が展開される。

実際、教室では教科書を開く機会が減っている気がする。近い将来にはタブレット端末が教科書代わりになるらしい。端末1台を片手に登校する光景は軽快だが、同時に小学生のシンボルであるランドセルも消えてしまうのではと思うと、日本人として寂しい。

一方で、年々重くなる娘のランドセルの中身には閉口している。例えば国語の教科書。全ページカラー。B5で厚みが1センチ、重さは480グラム、1冊を通年で使うタイプだ。そこにノート、ドリル、資料集などが加わり全体では5キロ超。時には「肩が痛い」「整体に行きたい」と訴える。骨や筋肉への悪影響など健康面で異状が出ないか心配になるほどだ。

重さの一因は、「脱ゆとり」と騒がれた11年の学習指導要領改定で学習内容が増えたこと。先日、保護者の声を受け文科省が、学校に教科書を置いて帰る「置き勉」を認めるなど子どもの負担軽減を各学校に呼びかけた。

これで多少は、娘の肩こりも解消されるだろうか。親としては卒業まで元気に通うランドセル姿を見届けたい。教科書の重さも思い出の一つとなりますように。また、整体院へ駆け込まずに済みますように。

(上原道子)

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