畑仕事[「手伝ってくれ」先週末、父親から急遽、要請がかかった…]

「手伝ってくれ」 先週末、父親から急遽、要請がかかった。つれない母親の代わりに、畑仕事の助っ人が必要という。両親が作る野菜を毎日のように食べているが、畑に足を踏み入れることはほぼない。あまり興味がないからだ。

 とはいえ折角のオファー。運動不足解消にもなるかと思い、意気揚々と畑に向かった。首にタオル、作業着に麦わら帽子といった出で立ちはカールおじさんそのもの。気分はすっかり農家だ。

 その日はダイコンとハクサイの種まき。そう広くないので、1時間もかからないだろうと高をくくっていたが甘かった。等間隔に空いた穴に一粒づつ植えていく作業は、立ったり座ったりの中腰で結構キツイ。台風10号の影響で雨も降ったりやんだり。途中、何度か中断し結局、2時間以上かかった。

 種まきは一見地味で単調。だが、やってみると意外に奥が深くて面白い。いかに的確に、効率よく出来るか。知恵と体力を絞りながら、黙々とひたすら同じ動作を繰り返す。土まみれになりながら、いつしか無心に。作業後は、心身共にスッキリ軽くなった気がした。

 翌日、筋肉痛になったがそれもまたよし。近くブロッコリー苗を植えるらしい。今度は、自ら助っ人を買って出ようと目論んでいる。

(中島美江子)

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