群馬クレインサンダーズ ベンチメンバーの活躍が B2優勝の鍵を握る

2月28日のアースフレンズ東京Z戦で勝利し、シーズン終了まで18試合を残し、B2リーグ一番乗りでプレーオフ進出を決めた群馬クレインサンダーズ。2月13日の 仙台89ERS戦に敗れ、リーグ連勝記録は33で止まってしまったが、B2優勝、B1昇格へ向けて、チームはさらなる成長曲線を描いている。そのキーとなっているのが、リーグ前半までプレータイムが少なかった選手たちだ。彼らの頑張りが選手層の底上げにもつながり、チームを「B1昇格街道」へと導いている。

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TAKANORI TAHARA
田原 隆徳

今季、B1の宇都宮ブレックスから移籍してきた田原隆徳は、プレータイムが伸びず、1月23、24日のアウェイで行われたライジングゼファー福岡戦ではついにベンチメンバーからも外れ、群馬に残ることになった。田原のポイントガード(PG)のポジションには小淵雅、笠井康平がいる。

福岡に行けなかったことに、「悔しい思いしかなかった」と胸の内を明かしたが、この試練ともいうべき時間が、田原にとって自分と向き合う良いきっかけになった。

「自己分析したり、どうやったらこのチームで這い上がれるのかと個人的に考えました。今、自分がこのチームの中でどの位置にいるのかを明確にして、チャンスが来たときに力を発揮できるように準備しようと思いました」

そして導き出した答えがこうだ。

「これまで平岡さん(平岡富士貴ヘッドコーチ)の求めるバスケットを100%遂行できているかと言ったら、そうではなく、自分の持ち味を出せていませんでした。本来の自分だったらシュートに行くところを、早くパスしてしまったりしていて、これじゃダメだと気づきました」

2月5日のバンビシャス奈良戦で、小淵の怪我もあり、田原に出場機会が巡ってきた。この試合で24分と、チームで一番長いプレータイムを得て、3ポイントシュート2本を含む11得点を挙げて存在感を示した。これ以降、田原はコンスタントなプレータイムを獲得している。

 

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FUMIYA SATO
佐藤 文哉

今季、ベンチを温める時間が長くなっていた佐藤文哉もまた、リーグ前半に悔しい思いをした一人だ。昨季までの2年間、キャプテンを務めた選手である。今季は出場機会が激減し、コートに立てない試合もあった。武器である3ポイントシュートの確率が落ち、結果を残せていないのが原因だった。

藤原隆充アシスタントコーチ(AC)と共にシュート練習に取り組んだ佐藤は、藤原ACから「縮こまってシュートを打つんじゃなくて思い切り打ち切れ」と言われたことで、プレータイムが少ない中で、結果を残そうとした焦りから、シュートのときに力んでいたことに気がついた。

2月6日の奈良戦で、7分23秒という短いプレータイムながら3ポイントシュート2本を決め、持ち前のシュート力の高さを見せつけた。そして、2月28日のプレーオフ進出を決めた試合では、13分43秒の出場時間で3本の3ポイントシュートを決める活躍を見せた。

田原、佐藤のように前半戦で苦しんだ選手たちが、後半戦では自らの持ち味を発揮してチームの勝利の貢献している。試合に出られないことを力に変えて、あきらめずに努力してきた結果だ。

ベンチメンバーの活躍は、直近の2月28日の試合でも見ることができた。スタメンの得点が50点に対し、ベンチメンバーの得点は53点と、スタメンを超えていたのだ。これは、チームの選手層の厚さを表している。

B2リーグの東地区で優勝したチームは、これまでプレーオフに進んでもリーグ優勝をなしえていない。これまでコロナ禍でプレーオフが開かれなかった昨季を除き、3回開催されたプレーオフに、サンダーズは東地区優勝チームとして過去二回、リーグ優勝に挑んでいる。この歴史を塗り替えるためにも、チームとしてもB2の他チームを圧倒する力が求められる。そのためには、ベンチメンバーのさらなる活躍が欠かせない。(星野志保)

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