日本の技術を習得したい

建築業「ソウワ・ディライト」社員 ベトナム人 工事士資格取得者

トゥアット さん
タオ さん

県内の外国人労働者数は、2018年10月末で3万4526人と前年から約5千人増加している(群馬労働局まとめ)。電気工事などを手掛ける「ソウワ・ディライト」(前橋市小屋原町、渡邉辰吾社長)は、このような社会状況を受け、「ポテンシャルの高い外国人とも一緒に仕事をしたい」と1年前から2人のベトナム人を雇用している。ハノイ近郊出身のダン・ドク・タオさん(25)=写真左=と、ダン・ディン・トゥアットさん(24)=写真右。2人はベトナムで人気高い工業系大学を卒業後、昨秋来日し日本語学校に進学した。

「エンジニアとして日本でもっと技術を習得して働きたい」と真剣に学ぶ2人に、潜在的な可能性を感じた渡邉社長が採用を決めた。
入社後、2人は日本の電気工事の仕事には欠かせない国家資格「第二種電気工事士」試験に挑む。今年6月に電気に関する基礎知識や配線理論などの学科の筆記試験を、7月に作業用工具による工事の実技を問う技能試験を受験。結果、9月に2人のもとには合格通知が届いた。ベトナム人が同資格を取得したのは、「聞いたことがない」と渡邊社長は驚く。

専門用語が多い法律関連の設問もあり、「理解に苦しんだ」というトゥアットさん。「『外国人は受からないだろう』という人もいましたが、社員の皆さんに応援してもらい頑張りました」と喜ぶ。タオさんは、「教科書の漢字が難しく、遅い時は夜の10時頃まで勉強しましたよ」と胸を張る。同社近くの共愛学園前橋国際大学のベトナム人留学生が教科書の日本語を直して、2人をサポートした。
合格後の10月、2人は高崎の専門学校中央情報大学校でベトナム人受講生の講師を務め、試験のアドバイスを行った。渡邉社長は、「日本で働くために、頑張って難関を突破してくれました。エンジニアとしてはまだ初心者ですが、彼らのような意欲のある外国人の雇用に対し、行政や業界全体の支援があるといいと感じる」と話す。

2人は、「将来はベトナムに帰国し、電気に関する会社や店舗を起業したい。日本とベトナムの架け橋になれたら」と笑顔で目標を語った。(谷 桂)

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