野口哲哉展―THIS IS NOT A SAMURAI 館林美術館

自分と違う姿の中にも、人間が存在している

《WOODEN HORSE》
(2020)高松市美術館蔵

鎧兜(よろいかぶと)をまとった人間をモチーフに制作活動を続け、国内外の展覧会で注目を集めている現代美術家・野口哲哉さん(41)を紹介する野口哲哉展―THIS IS NOT A SAMURAI」が今月3日、県立館林美術館で始まった。9月5日まで。

幼い頃から甲冑と油絵に興味を持ち、思考を重ねながら両方を統合したリアリズムアートを実践する野口さん。同展では5つの章立てで、高さ約5㌢から1㍍ほどの立体や平面、インスタレーションなど総数約180点を展示している。

作品《Cheap wings》(2019)の前に立つ作家の野口さん

第1章は、「鎧の中へ」と題して、数々の鎧をまとった人物の立体作品などを並べる。戦国時代の人を忠実に再現しているのかと思いきや、鎧の中には、「強さと弱さの両面を持った、あたりまえの人間」と作者自身が語るリアルでユニークな世界が広がる。第2章のテーマは「仮想現実の中で」。日本や世界の文明、さらには解剖学についても勉強してきた野口さんが「現実にありそうで、ないもの」と「現実になさそうで、あるもの」を表現している。第3章は「鎧を着て見る夢」、第4章「別世界旅行」と続き、最後の第5章「鎧を纏(まと)うひとびと」まで、作品には一貫して「これは侍ではないんだ」という作者の思いが込められている。

館林市内から友人と来館した石島昌子さん(65)は、「私の知らない作家でしたが、素晴らしい作品にくぎ付けになりました。これは来てよかったです」と話した。

今月10日に来館した野口さんは、「人生は楽しいだけでは成り立たない。悲しいことがあったり、怒ることがあったり多面的。一見、自分と違う姿の中に、人間という当たり前のものが存在しているのです。作品を通して、見た方と自分の思いとが、深いところで共有できることが理想ですね」と話す。撮影可能な作品もある。一般 830円、大高生410円、中学生以下無料。午前9時半から午後5時まで。8月9日、16日を除く月曜と同10日は休館。同館(0276・72・8188)

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