名湯の町・伊香保で新店続々

若い世代が空き店舗リノベ

コーヒー店、居酒屋、雑貨店など、新型コロナの影響で苦境にある温泉地にも、自治体の補助金などを利用しながら、若い世代が新たに店を開業する動きが出てきた。渋川市の伊香保温泉石段街周辺で、オープンした3店舗を紹介する。    (谷 桂)

自家焙煎コーヒーとジンジャーシロップの店
ルンゴ

店内もグリーンで覆われて、おしゃれな空間に

伊香保の石段180段目を左に入ると、白いのれんとグリーンが壁を飾る外観が目に飛び込む。3月26日にオープンした自家焙煎コーヒーとジンジャーシロップの店「ルンゴ」。

同店は、造園や園芸などを営む「フォレストライン」(永井克俊社長)が手掛け、責任者の永井由美子さん(42)が運営しオリジナル商品の開発や製造も担当する。コーヒーは選び抜いた豆を焙煎し、ていねいにハンドドリップ。テイクアウトはもちろん店内でも気軽に飲める。

渋川市のシンボル「へそ」にちなんだ土産品「ヘソジンジャー」も開発

また、コーヒーと同様にこだわっているのが、店で製造するジンジャーシロップだ。熊本産の有機栽培生姜と広島瀬戸田のエコレモン、北海道の甜菜(てんさい)糖など、こだわりの材料を使用する。クローブやシナモン、グリーンカルダモンなどスパイスが入ったものと、スパイスなしのものと2種類あり、お土産用に小瓶で販売。炭酸やジュースで割ったジンジャーエールも提供する。永井さんは「この空間に来たお客さまが伊香保の良さを知るきっかけになったらうれしい」と張り切る。

■渋川市伊香保町伊香保66-6 
  営業時間:午前11~午後4時、不定休。
  インスタグラム:@lungocoffeejinger

思いを持った人が集まるような店に
浮曇

ハイカウンターの上にはカキや野菜が載った大皿が並ぶ

石段街の中腹に、ガラス張りで店内が見えるおしゃれな居酒屋「浮曇」が3月2日オープンした。

県内外に知名度を誇る伊香保。「もっと伊香保がにぎやかになってほしい」と伊香保生まれの高橋良さん(24)が店を始めた。大学時代にアルバイトをしたことをきっかけに飲食店に興味を持ち、空き店舗をリノベ。

伊香保タンメン(写真右)、ブリの胡麻和え(同左)、上州地鶏のたたき

料理を作るところが良く見えるオープンカウンターとキッチンは、お客さん同士の会話が弾みそうな造りだ。群馬の地酒はもちろん、海外のクラフトビールに加え、化学肥料や農薬を使用せずに有機栽培をしたぶどうを使った、添加物を入れていないナチュラルワインも揃っている。

地元の食材と地元にはない海鮮から作りだされる料理は、全ておいしい。野菜たっぷりの「伊香保タンメン」は飲んだ後におすすめだ。海なし県でこそおいしい海鮮をと、「ブリの胡麻和え」や「生ガキ」も提供。薬味、ポン酢でさっぱり食べられる「上州地鶏のたたき」もおすすめ。「地元の方のあたたかさに触れ、開店できてうれしい。思いを持った人が集まり、カルチャーを生み出す店にしたい」と高橋さんは意気込む。

■渋川市伊香保町伊香保61番地6 電話 0279-26-8006
  営業時間:午後7~午前2時、不定休。
  インスタグラム:@ ukigumo_ikaho

かわいくて懐かしいものがいっぱい
雑貨カルメ

以前は射的場だった店舗の棚を活かして商品を陳列する

昭和レトロな雑貨を扱う店「カルメ」が、石段街の左エリアに3月26日にオープンした。店内には、ガラスのコップや皿、ホーロー鍋、ポットなど同じものがひとつもなく、懐かしいビンテージもので一杯。

石段街の中腹にある雑貨カルメ

店をオープンしたのは、渋川市在住の角田夫妻。角田さんは、大手雑貨店に14年勤務。「いつかお店をやりたいという思いから、自分たちの好きなものを集めているうちに、伊香保の雰囲気とマッチするお店になりました」と夢を実現した。

店のコンセプトは、「おばあちゃんちにあったようなかわいいもの、おじいちゃんちにあったようなかっこいいものをお店に置くこと」。若い世代のお客さんは、「これなあに?かわいい」と新しさを面白がり、昭和世代は、「こんなのあったよね」と懐かしがる。「旅行先のふれあいって思い出に残りますよね」と角田さん。3世代のお客さんが会話し、ストーリーが広がっていくのを楽しんでいる。「お店の名前やロゴにしたほどカルメ焼きが好きなんです。裏路地散策をしながら遊びに来てください」と笑う。

■渋川市伊香保町伊香保131-3
  営業時間:午前10~午後6時、不定休
  インスタグラム:@calme_zakka

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