生誕110年 精選した約120点で構成

桐生・大川美術館 19日まで

桐生の大川美術館では19日まで、企画展「みんなのオノサト・トシノブ展―ベタ丸と色彩の無限のフィールド」を開催中。同市を拠点に活躍した画家オノサト・トシノブ(1912~86年)の生誕110年を記念した今展では、精選された作品と資料を一堂に集め、その魅力を再考する。

抽象絵画の先駆者として活躍したオノサト・トシノブは長野県飯田市で生まれ、父の転勤に伴い10歳で桐生に移住。旧桐生中学(現桐生高)を卒業し、日本大工学部へ進学するが、画家を志し中退した。出征、シベリア抑留を経て戦後50年代には、丸を黒や赤などの単一の色で塗った「ベタ丸」と呼ばれる作品を展開し、独自の絵画様式を確立。64年と66年にはベネチアビエンナーレに連続出品するなど、世界的にも高い評価を得た。桐生の若い芸術家や美術愛好者たちにとってカリスマ的な存在であり、その作品は桐生の人々に広く親しまれている。

今展では、初公開作品を含め戦前期の初期から晩年の成熟期までの120点を紹介。市内の所蔵家などからも出品の協力を得た。同館の小此木美代子学芸員は「画家が終生生活し、創作活動をした桐生との関わりを多面的に展観しています。これまでにないオノサト・トシノブ像を見直す契機となればと思っています」と話す。一般1000円ほか。午前10~午後5時。月曜休館。同館(0277-46-3300)。

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